過去top2

□風清但室入
1ページ/2ページ



蝦夷の氷海が溶け始め
新政府軍黒田清隆は軍艦飛龍・豊安から函館山周辺に上陸成功を成した。
函館山山頂に大砲を添え付けることで、弁天台場などを含む市街各所を砲撃できる。これが黒田の考えであった。

それに反して旧幕府軍榎本軍永井尚志(ながいなおむね)は弁天台場の守備を、士官隊隊長永龍川充太郎は伝習市官隊・新選組を率いて函館山奪還を目指すが、函館山山頂の砲撃、裏手に浮かぶ軍艦からの砲撃で敗退し五稜郭から目と鼻の先にある一本木関門まで押し入られ、そして五稜郭まで退却を余儀なくされる。

これで一本木関門を占領された事で、弁天台場との通信が途絶えてしまった。

孤立化した新選組を救出にするため、馬に跨がる土方を筆頭に兵が出動。
背丈程の藪を駆け抜け
関門前を突破するべく馬の腹を強く叩くと



「我、この関門をあけて退く者を斬らん」




土方が関門を飛び越えるのと同時に銃声が鳴り響いた。

























「黒田清隆殿、陸軍奉行並土方歳三が一本木関門付近、被弾し絶命が確認されました」





「千代ケ岡台場、または中の橋まで兵を進めろ」







函館山山頂、五稜郭の全貌を見下ろす黒田は濛々と立ち上る煙を見据えた後、目をきつく瞑る。




「これで戦争が終わった」


















土方亡き、それから7日後。
1869年(明治2)年5月18日
旧幕府軍榎本武揚により降伏表明が出される。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ