過去拍手

□お酒を味方に
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あぁ…この光景は一体何?いつも「殺す」「邪魔」「鈍臭い」数々の重い言葉を投げかけてきた一番組組長沖田総司の固定されていたイメージが今この瞬間崩れ去った。
いつも以上にはだけた胸元と、頬が真っ赤に染まった顔。足はだらしなく胡座をかいて、手には酒瓶を揺らしている。
さっきまでは普通に飲んでいたのに突然凶変し、今まで以上に怖い視線をこちらに向けてきた。

「沖田さん…?」

「……ふぅー。久々にこんなに呑んだかなぁ」

「おっお水をお持ちしますね」

「水じゃなくてお酒持ってきて」

「飲みすぎです!」


周りに呑み干した酒瓶が3つ置いてあり、その中の一つを手に持った沖田さんは私に見えるように表向けてきた。

「この種類のお酒が美味しかったから、これ、もう一本お願い」

「いけません。」

私の言葉を聞いて、子供が駄々をこねた後にみたいに頬を膨らませた沖田さんは、ブーブー文句を言い始めた。それを華麗に聞き流していた私は、この後この部屋に戻ってくる土方さんと幹部隊士さんの為に散らかった所を掃除していく。
それまで私の行動を素直に見守ってくれていた沖田さんは、抱き込んでいた酒瓶を畳に荒々しく置いて、新鮮な空気が行き来する窓辺へ移動した。

「沖田さん、お水飲みますか?飲みますよね是非飲んで下さい」

一人で完結させた会話をして、いそいそと部屋の奥に向かおうとした。が、不意に声をかけられて阻止されてしまう。


「千鶴ちゃん。こっち来て」


パンパンと自分の隣のスペースを軽く叩いて、私を誘ってくる沖田さん。その時の表情は、月明かりに照らされた綺麗な姿はあの時の土方さんに瓜二つで、思わず息をのんでしまった。


「お水を…」

「お水は良いからこっち」

「…?」


ゆっくりと沖田さんの所へ歩いて行くと、指定された場所へ腰を下ろす。
にっこりと笑いかけてきた表情を直視出来ずにうつむくと、沖田さんが自分のお腹をかいている姿が目に入った。


「沖田さんも永倉さんや原田さんに負けず劣らず、筋肉が素敵ですね」


我ながら恥ずかしい事を言ってしまったと後悔し、慌てて弁解しようと口を開く。でも沖田さんは気にせずに自分の腹筋に目を向けると、やたら怪しい表情をしながら私を見て言ってきた。

「触ってみる?良いよ千鶴ちゃんなら」

「……なっっ!?」




身を引こうとした私の手首を素早く掴んだ沖田さんは、そのまま腹筋に手を押し当てる。

「ああああのっ……!!!!」

「これは僕の努力の証なんだ。良いでしょ?あげないよ」


ふふっと笑った沖田さんの頬は、お酒が入っているのもあって少し赤い。子供のように自慢している姿がなんとも可愛らしく思えた。
だが、そんな平和な会話も沖田さんの悪事によって直ぐに消し飛んだ。


「でも………今晩は随分積極的だね千鶴ちゃん。積極的な子は嫌いじゃないよ」

「違います!!!!」
「何が違うの。まだお嫁入りしてない女の子が、男の肌を触るなんてはしたないよね」

「あああっあのそれは沖田さんがっ!!」

「僕のせい?酷いな」

沖田さんの手の力が強まり、もう片方の手首もあっという間に拘束されてしまう。段々と二人の隙間がほんの少しに縮まり心臓が早鐘を打ってきたその時、奥の襖が予告なしに開いた。


「総司、何をしている」

「千鶴ちゃん、一くんの腹筋も結構凄いんだよ。」

「千鶴ならのぼせているぞ」


ぐったりと沖田の肩に寄りかかった千鶴の顔は誰よりも赤くて、戻ってきた土方さんに『こいつに酒飲ませた奴は誰だ!!』と、説教を言われるのは目に見えた状態だった。


これは、千鶴がしばらく沖田を直視出来なくなった前の出来事。





















お酒を見方に























『菊一文字』一周年ありがとう御座いました…!!これからも精一杯頑張ります(*^∀^*)/ 。

お題美味しく頂きました。有効に使わせて頂きますね。*みな様*ゆん様*虹様*薫様*沖千愛様*マチ様*柚子様*ぽんた様*実優様*カナ様*月桂樹様*あっちゃん様*ゆーたん様*がら様*ミルク様

本当にありがとう御座いました!!

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