過去拍手

□泣くなと言って
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‘泣くな’










土方さん、私はあなたにそう言われたかったです。

ぼろぼろと大粒の涙は止まることなく畳に落ちて染みを作り、冷たくなっても綺麗な顔をしたあたなの頬にまでも汚してしまう。

どうして‘泣くな’と言って下さらなかったのですか?あなたにそう言われたら、私はこんなにも泣く事はなかったのに。

どうしてどうして、こんなにも涙が止まらないの?あなたから沢山の幸せを頂いたはずなのに。まだまだ足りないと言わんばかりに悔しくなる。
‘泣いて良いんだ、お前の涙を拭うのは俺の役目なんだから’
最後に言われた時、追い詰めていた気持ちが一気に溢れ出た。最後だけは笑顔で送ってあげたいと、甘い切ない物語の最後みたいな終わり方にするつもりだったのに。


‘泣いて良い、泣いて良いんだ’


最後の最後まで私の事を気にかけてくれた愛しい人。
ひんやりと冷たくなった手、私にとってはとても温かい手を頬に押し当てて私は涙に溺れた。















『泣くなと言って』










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