-人魚の歌- 月の輝く夜 いつも見ていた 海の向こうの貴方はどれ程美しいのだろうと でも私は足のない人魚 貴方に会うことも出来ず ただ岩に座って歌うことしか出来ない もしも私が鳥だったら毎朝貴方の窓辺に座って囀るのに 貴方が気持ち良い朝を迎えられるように もしも私が花だったら毎夜庭からいい香りを放つのに 貴方が幸せな気分で眠りにつけるように でも私は足のない人魚 貴方に会うことも出来ず ただ岩に座って歌うことしか出来ない 貴方が寂しそうな顔でお星様に祈っているから もしこれが貴方のためになるのなら 泡になってもいい 一度だけ貴方の隣で歌ってあげる 私が最後に見る貴方の顔は笑顔であってほしい ずっとずっと私の大好きな貴方の笑顔を振り撒いていて 星の降る夜 涙降る夜 人魚の落した王冠は 魚たちの城となる |