普通くんの○○クラス

□:普通くん
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「普通くんってあだ名、実はすごいよな」

休み時間。
何かするという訳ではないが、なんとなく3人集まって好き勝手していた頃。
唐突に喋りだした和輝に視線がいく。

「まぁ、標準ってことだものね」

手にあった文庫本を閉じて口を開く谷村さん。

「勉強も普通なの?」
「まぁ、3は多い方かな」
「普通なんだね」

優しい笑顔と可愛い声でズバズバと言われると僕のガラスのハートにヒビが。

「私は3なんて2と1より嫌だな。なんか微妙じゃん」

訂正。
僕のガラスのハートは粉々です。
だれか接着剤をください。

「スポーツは……平均っての、体力測定やってわかった」
「身長は普通かな?身体測定とかどうだったのかな」
「あ、俺勝手に見たから覚えてる!」

なんだか勝手に話が進んでいる。
しかも話の話題が僕って…二人とも普通普通言い過ぎだよ。
それより、この会話を最後まで聞く必要はあるのかな。
いまものすごく逃げ出したい。

とくになにも考えずに二人を見ていたら、ふいに顔を上げた谷村さんと視線が交わった。

「そういえば、さ」






「名前は遠藤圭だよね」






「「は」」

和輝と声が重なる。
名前が遠藤圭?
まぁ確かにそうだが、それが…?

「だって名前の普通は“田中太郎”とかでしょ?」

その一言に妙に納得してしまった僕は負けなんだろうか。
田中太郎じゃなくて良かった。
……いやこれだと全国の田中太郎さんに失礼だな。えーと…



   ・・
「そこだけは救われたね!」

あぁ、今はその眩しい笑顔ですら…






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