love
□hospital.
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西宮 咲。
それがあたしの名前。
桐央高校に通ってる、どこにでもいそうな普通の女の子。
「………♪」
明日から高校2年生。
そう思うと、なんだかワクワクしてくる。
そんな中、あたしは風邪で入院している、親友の「お−ちゃん」こと"柏崎 音羽"のお見舞いに行こうと病院に向かっている。
「すみませ−ん、柏崎 音羽のお見舞いに来たんですけど…」
病院に着くなり、あたしはナ−スステ−ションにいる看護婦さんに尋ねた。
「柏崎 音羽さんですね?」
少々お待ち下さい、と微笑みながら、何やら名簿のような物を取り出して調べ始めた。
……にしても、いつ来ても慣れないもんだよね。この匂い。
薬のような匂いというか、病院独特の匂いだと思う。
「お待たせしました、柏崎 音羽さんは205号室ですよ」
と、看護婦さんが教えてくれた。
ありがとうございます、と軽く頭を下げて、あたしは205号室を目指した。
「あ……っ」
あたしはひとつ忘れていた。
せっかくのお見舞いなのに、果物ひとつ持っていない。
しまった、と引き返して、あたしは病院にある売店に向かった。
「何にしよっかな〜?」
お見舞いなんてあまり行った事のないあたしは、何にしようか迷っていた。
風邪なんだから、水分は必要だろうし…お−ちゃんはプリンが好きだったから、退院祝いにプリン買って行こうっと。
「ありがとうございました」
店員の声を背に、あたしは病室へと急いだ。
―――…と、
「きゃ……っ」
前を気にせずに歩いていたあたしは、誰かとぶつかってしまった。
ゴロン……
しかも、どうやらその人が持っていたペットボトルを落としてしまった様子。
「あっ…すみません」
あたしは急いでペットボトルを拾った。
…水……?
ふと顔を上げると、多分同い年だろうと思われる少年だった。
男子って、炭酸しか飲まないんだと思ってた。
その証拠に、同じクラスの男子は炭酸しか飲んでいない。