メイン(短編)

□動かない動けない
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ギガントモンスターとの戦闘は、いつも激しくて―――

今日、出くわしたのは“メドゥーサバタフライ”

石化の粉を飛ばしてくる強敵で………

石化を治せるエステルとカロルが、石化されて

石化を治せる薬がないから、いったん砂漠のオアシスまで石化した皆を運んで

石化した皆を守る組と薬を買いに街まで戻る組に分かれることにした

あたしは、犬っころと一緒に残る側で―――

今は、エステル達と一緒に石化した“カイル”の前にいる




戦ってる時に、どうしても避けれないタイミングであたしに石化の粉が飛んできた

カイルは、あたしを庇ってまともに粉を浴びた

だから、あたしは平気だったけど………

「あんたが、石化してたら世話ないわ…」

いや、あの時はエステル達が石化の粉にやられてあたしは動揺してた

だから、敵が近くまで来てたのに気づけなかった………

それをカイルは見てたから―――

「庇ってくれた……」

こいつは、何故かいつもあたしを守るように戦う

前に出て戦った方がこいつらしいのに

たまに、ユーリ達と一気に畳み掛けるように戦うけど…

たいていは、あたしやピンチのヤツのカバーに入る

「実際、足が早いし、そこそこ魔術も使えるし、剣も強いし……
でも…」

あたしのカバーに入って、こいつが傷つくのは嫌だと思う

「確かに、あたしはそこまで接近戦が得意じゃないから…守ってもらえるのはうれしいけど……」

チラッとカイルを見る

やっぱり、石化したまんまだ




あたしは、いつも、助けてもらった時に上手くお礼が言えなくて適当にごまかしてるけど……

石化なんて、下手したら全滅するような事からあたしを守ってくれたんだし……

「お礼が言いたい…」

けど、多分こいつの顔を見たら上手く言えないと思う



実践する前に、実験すると言うのはどうだろう?

ちょうどいい、って言うのは不謹慎だけど………今、カイルは石化してここにいる―――

動けないこいつで、お礼の練習をしとけば………

動けるこいつにも、言えるかもしれない……

よし!

「あ…あんたは」

カイルは石化して動かない

「いつも、あ…あ、あたしっ…のこと…その、あの……」

やばい……緊張する…

「ま、守ってくれて、す!すす…すごく助かっ!!…ってるわっ!」

………なんか、違う…

長いと噛んじゃいそう…



「あんたが、あたしが魔術を詠唱してる時に、守ってくれてるからあたしは大丈夫なのよ」

……これも、なんか違う…

もうちょっと短く…



「あんたがいるから、あたしは戦えるのよ」

……なんかちょっと近いかも?

短い方がしっかりと言える…



「カ、カイルが一緒にいると安心出来るのっ!!」

これがいいかもしれない!

短いし、カイルが一緒に戦ってるとカバーしてくれて助かってるって伝えれる



木陰にいるとはいえ、砂漠の熱となんかわからない緊張で頭がクラクラしてきた……



「いつも……ありがと。………カイル」

そっと、触れてみる―――




しばらくして、ラピードがユーリ達が来た事に気づいた

すぐに、回復薬で石化が解けるエステル、カロル……カイル

よし、今しかない

後になれば言い出しづらくなるだけだし……

ザッザッと、カイルの近くに―――

「……あっ、あの……」

と、言ったのはあたしではなくカイル―――

あたしが喋ろうとするまえに、どっか遠くへ真っ赤な顔をして走って行った

「な、なによ……」

意味がわからない!

そこへ、エステルとカロルがやって来て………

「リタ、情熱的です…」

照れながら、エステルが

「ただ、もうちょっと周りに気を配った方がいいかもね……」

やや、呆れた顔でカロルが言った

「……なんの事よ?」

意味がわからないので、聞いてみたら

「あの…石化してても周りの事は見えますし、聞こえるんです……
盗み聞きするつもりはなかったんですけど………
その…リタがカイルに何度も告白するのを聞いてしまって………」

……はぁっ?

って事は―――

あたしの言ってた事全部、全部―――

「………リタ…?」

エステルやカロルが告白に聞こえるような事を何度も、何度も

言ってたのをカイルは聞いてたわけ!?

「リタッ!?だれかっ!
リタが固まったまま動かなくなっちゃいました!!」

頭がクラクラする………

なにも考えれそうにない―――
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