メイン(短編)

□死刑宣告
1ページ/3ページ


「この間、ユーリが………」

オレは、どこかおかしくなったんだ

「そこに、おっさんまでしゃしゃり出て来て………」

この子を、とっても大事にしたいのに………

「それでカロルがまた馬鹿な事言ったのよ……」

その気持ちに嘘は無いのに……

「……で、フレンがまた変な料理を………って、ちょっとカイル!!
あたしの話し聞いてんの?」

―――コワシタクナル―――




さっきより近くに行くと、リタは少し後ろに下がろうとする

―――ハナレナイデ―――



「………きゃっ!?」

リタの背中と太ももをすくうように持ち上げる

降ろせと言いたいのか必死に暴れるリタ

―――ニガスカヨ―――



「暴れないで」

自分でも聞いた事が無いような、低い声

びっくりしたリタが、暴れるのをやめる

―――コワガッテルノ?―――



一歩、一歩、足を進める

オレの腕の中のリタの目は、オレが見た事の無い目だ

―――イイヨ、コワガッテモ―――



オレは、もう我慢が出来ない

わがままだ、って人からよく言われるけど

君にこうすることすら、わがままなら

―――イイヨ、ワガママデ―――



目の前には、横に大きいソファー

ここでいいや

リタのほっぺに、オレの唇をくっつける

「好きだよ、リタ」

―――ダイキライダヨ―――



次に、リタの唇に狙いを付ける

この口が、オレ以外の人の名を喋るんだね

―――ナラ、モウ、シャベルナ―――



赤い顔が見える。熱い吐息が聞こえる

一度は唇を離したけど

その顔がもっと見たい

吐息が聞きたい

―――ミセテヨ。キカセテヨ。モット、モット―――



また唇を離す

次は、首に近づく

今度は付けない、味見がしたいんだ

―――アマクテオイシイカナ?―――



ぺろりと、今、舐めた味を忘れないように口の中に戻す

やっぱり甘い

茶色い綺麗な髪が揺れる

オレ以外の人のことばっかり考えるのは、この頭かな?

―――ナンデ、ソンナコトバッカリ、カンガエテルノ?―――



髪をかきあげる。小さいオデコが見えた

ここにも、キスをする

―――オレノコトダケヲカンガエロヨ―――



目をぎゅっと、閉じて君はいるんだね

そんなに、オレのこと見たくないなら

―――ミナクテイイヨ―――



次は、小さい手

赤い手袋から出てる細い指を一本、口の中に入れる

君は、手を触られた時に手を引こうとしたよね

―――イヤダ、ハナサナイ―――



甘く、強く、口の中に入ったリタの一部を噛む

リタが小さく鳴いた

―――カマウモンカ―――



これは罰なんだ

手袋は、片手で引っ張ればすぐにリタの手から剥がれ落ちた

罰を与えるんだ

手の甲に唇を付ける

白い肌に赤く残る罪の象徴

―――イッショウキエナケレバイイシルシ―――



耳、鼻、閉じた瞳にもオレのシルシをつける

そして、腕に噛み付く。甘く、強く

痛い?でも………

―――ハナサナイ―――



たちまち、力を強く加えた訳でもないのにシルシが細い腕に浮かび上がる

それを見て、オレの手は、顔は、

その綺麗な足へと向かう

「や……っ」

―――ナニガイヤナノ―――

―――ダマッテ、ココマデサレタクセニ―――

リタの碧色の目が、顔を上げたオレの目に届く




「…う……っく…ひっく……」

その目からは、涙がこぼれて

こぼれた涙は、リタの服に染み込む



―――ドウシテ、ナクノ?―――

わかってる

―――ワカッテル、ッテナニガ?―――

怖いんでしょ

―――ダレガコワイノ?―――



「あんたなんて……」

―――ヤメテ、ソレイジョウ シャベラナイデ キキタクナ……―――

「………っ、だいっきらい!!」

―――………―――



―――アァ、オレ、シンダ―――
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ