メイン(短編)
□純情爆弾点火5秒前
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「………一つだけ言わせてもらっていいか………」
「ぐっ………」
今、ユーリさんの目の前にはリタがいる
そして、辺りは真っ黒コゲ状態―――
―――ついでに、オレ……カイル・デュナミスも真っ黒コゲだ―――
だって、リタが魔術をぶっ放してきたから………
今は、エステルさんに治癒術をかけてもらってる
けど………
「……じゃないわよっ!!」
少し離れた所で、ユーリさんと話してるリタを見ると―――
「……むーっ…」
なんだか、落ち着かない―――
なんだよ……
オレが近くに行ったらすぐ怒るのに………
話しかけたら逃げるのに………
手が当たったら………殴ってくるのにッ………
ユーリさんだったら平気なのかよ………
ここからじゃ、何話してるのかよく聞こえないし、リタがどんな顔してるかも全然見えない………
「………むー…っ」
「どうしました?怖い顔してますよ?」
なんでもないよ。なんて言えない心境のオレは、エステルさんに相談してみる事にした
‡
「えっと………」
エステルさんは、視線をそらしてちょっと考えた後
「…辛いですね……」
って言ってくれた
………辛い?
ううん、辛くはないよ
リタは、オレを殴ってきたり、オレから逃げたり……避けたりした後は
「……さ、さっきは、その……」
なんて言いながら、顔を真っ赤にさせながら
「………ご、ごめんね……」
近くまで来て、そう言ってくれるんだ
それが、すごく嬉しいから………殴られたり、逃げられたりして悲しくなっても、ガマンしようって思うんだ
リタが、オレに話しかけてくれるんだもん
‡
だけど………誰かと仲良くしてるの見ると……
ずるい、ってばっかり考えちゃう
オレにもユーリさんみたいに話しかけてほしい
ユーリさんと何を話してるのか知りたい
オレも話しをしたいって思うのは、ダメなのかな………
「………治療終わりましたよ?」
よしっ、エステルさんにお礼したらリタの所に行くぞっ!!