メイン(短編)
□純情爆発5秒前
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「………一つだけ言わせてもらっていいか………」
「ぐっ………」
今、俺の目の前にはリタがいる
そして、辺りは真っ黒コゲ状態―――
―――ついでに、俺……ユーリ・ローウェルも真っ黒コゲだ―――
いや、それよりも説明しなきゃいけねぇ事があるな……
ほんの10分ほど前の事だ
‡
「な、なによっ!!」
リタは、今回の被害者にして、ある意味加害者のカイルと揉めていた
聞けば、揉めた理由は「カイルと手が触れた」事
別に、一緒にいたらそんな事ぐらい日常茶飯事だが、リタとカイルに限っては、それがすごくややこしくなる
本人は隠してるつもりらしいが、他人からみたら明らかにカイルが気になってるリタ
と
他人の目なんか気にしないで、リタにアプローチをかけてるカイル
意識しすぎる程、意識してるリタは手が触れたからと言って、カイルを殴ろうとした
まず、ここがよくわかんねぇんだよな………
なんで殴ろうとしたのかがわからん
本人いわく「恥ずかしい事してくるから」だそうだが……
やっぱりよくわからん
手が触れただけで恥ずかしいとか………
……で、カイルは殴ろうとしたリタの手を避けて掴んで
「なにするんだよっ!」
と、リタに反論したからこんな事になっちまったんだな……
「オレ、何か悪い事したかな……リタ……」
狙ってんのか、と聞きたくなるほど真剣な顔で声でリタに近づくカイル
「わ……わわわ…っ」
手が触れただけでテンパるリタだ
顔を近づけられたら―――
ドッガーン
暴走しちまった………
魔術に巻き込まれた俺が見たモノは……同じように巻き込まれ、倒れゆく仲間達の姿だった―――
‡
………で
「エステルが無事じゃなかったら、全員死んでたぞ………」
何故か無事だったエステルが、一人一人の治療にまわっている間に俺はリタに説教中………というのが現状だ
「お前、金輪際 痴話喧嘩で魔術禁止だ」
他人の恋愛にちょっかいだすと馬に蹴られるんだっけな……?
でも、こいつらの場合 なにもしてなくても周りのヤツらにまで被害が出ちまう
「ち、痴話喧嘩じゃないわよっ!」
「いや、痴話喧嘩だ」
本当にカイルには同情するぜ………
こんなに、恥ずかしがるヤツが相手だとなぁ………