メイン(短編)

□また会おう
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「じゃあ、二手に別れて中央海への行き方を調べましょう」
 
そう言われて、ジュディスと別れたけど、誰に聞こう………
 
辺りを見回してみると―――
 
街中で上半身裸で歩いてるゴリラ―――
 
もといマッチョ―――
 
こいつには、話し掛けない方が良いわね………
 
 
 
次に目に入ったのは、眼鏡をかけて腰に斧と剣が入った鞘を持った髪の長い男―――
 
あっ……近くの酒場にいた酔っ払い男を吹っ飛ばした―――
 
乱暴なヤツ………
 
こいつもパス―――
 
 
 
次は、黒い髪の男―――
 
の隣にいた金髪の男の子―――
 
金髪って結構目立つわね………
 
話し掛けてみようかな………
 
 
 
「おーい、そこの!」
 
「えっ、オレ?
……どうしたんですか?」
 
男の子は、近くまで来てくれて話しを聞いてくれた
 
親切なヤツね……
 
あたしの観察眼は、正しかった!
 
 
 

「中央海になんのようだ!?」
 
後ろにいた黒い髪の男が、いきなり話しに入ってきた
 
何、こいつ…あたしはこの金髪の子と話ししてんのに………
 
あれ?こいつらシグルス……?
 
大チャンス!!
 
スクルドフラッグを奪ってやるわっ!!
 
 
 

って、戦いを挑んだけど………
 
 
 
「はぁっ…はぁっ……」
 
こいつら、戦いなれすぎ……っ
 
もう、こっちはへとへとなのに……
 
「この…っ!!」
 
近くまで走ってきたさっきの金髪をぶっ飛ばすために、帯を振ったけど………
 
 
 
「てやぁっ!」
 
「きゃっっ!?」
 
ガキーン
 
なんて音が聞こえたと思ったら、あたしは壁に背中をつけてて―――
 
顔の右横の壁に剣が突き刺さる―――
 
ちょっとズレたら…なんて考えると寒気が走る
 
帯を持ったあたしの右手は、金髪の子の左手に抑えられて、壁にくっつけられる―――
 
帯も手から離れ、地面に落ちる―――
 
けど、それより―――
 
 
 
顔……近い!
 
…意外に、まつげ長いな…
 
な、なんか……心臓が痛い!
 
剣を横に突き立てられてるから?

 
吐息が顔にかかる!
 
この状況を受け止めようと、頭を動かすけどこいつの吐息がかかる度に思考がフリーズするッ!!

 
なんなのよっ…!
 
「このまま大人しくしててね」
 
こいつの視線は、あたしから全くそらさない―――
 
あたしも目線がそらせない―――
 
なんで!?なんでそらせないの?
 
悔しいのにっ!
 
色んな考え事が、頭の中を駆け回る―――
 
こいつの手が、声が、髪が、顔が、目が…あたしの全てを動けなくしてるみたい………っ
 
だーっ!こんな結果、納得できないっ!
 
 
 

「ごめんね、痛くなかった?」
 
ジュディスが降参して、あたしはようやく解放された
 
握られてた手が、やけに熱い
 
「べ…べつに…っ」
 
ようやく、顔を背けれた。
 
何、あたしの心配してんのよ!
 
 
 
まだ、こいつの顔が脳裏から消えない―――
 
 
 

「こいつら、ハロルドのとこの奴ら!?本気だしとくんだった。」
 
そしたら、まだ痛い心臓も…
 
こんな風にならなかった………ハズ
 
相変わらず、金髪は目の前にいるし………
 
何か話題……話題……
 
とりあえず、黙ったまんまだとまた色んな事思い出しそう―――
 
 
 

「行くぞ、カイル」
 
「え、でも………」
 
うっ……何こっち見てんのよっ
 
「カイル!」
 
黒髪の男に呼ばれて、カイルはついてった
 
「…カイル……」
 
名前、忘れないようにしとこう……
 
ハロルドにあったら、どこにいるかを聞いて―――
 
「…リベンジするわよっ!!」
 
隣で、クスクス笑うジュディス―――
 
「何、笑ってんのよ!!」
 
 
 

さっきの女の子の事思い出して………
 
「う〜っ」
 
座り込んだオレに、心配したリオンさんが声をかけてくるけど………
 
さっきの子の顔が頭から離れない………
 
あんなに近くで女の子の顔なんて見たことないよ………
 
「なんか…モヤモヤするんだ……」
 
「…なんの事だ?」
 
リオンさんにはわからないか……
 
 
 
………また会えるかな?
 
………名前、教えてもらえるかな?
 
あーっ、もう、やっぱり名前だけでも聞いとけばよかったなぁ………
 
よしっ、ユグドラシルバトルで優勝したら、あの子をダインに探しに来よう!
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