純血たる雪鬼姫

□少女、流転する
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―――薄気味悪い子だよ、何をされても泣きやしない。


「(泣いたら、あんた達はエスカレートするだろ)」


―――この平和な世で…あんな強い力を持って何になるの。


「(持ちたくて持った力じゃない、のに)」


―――今まで何人の同族を殺してきたか…同族殺しの御子だよ。


「(あんたらがボクを殺そうとしたから、殺られる前に殺っただけ)」


―――今にあの子は一族を滅ぼすよ、長の御子のくせに。

―――力は少し劣るが、弟君の方がよほど次代にふさわしい。

―――恐ろしい子、呪われた子。破滅の子どもだよ。

―――あんな子、生きていたって一族の為になりゃしないよ。

―――さっさと死んでしまえばいいものを…。


「(…うるさい、うるさいうるさい…!死ねばいいのは、あんたらの方だ…!ボクは…ボクは…!!)」


物心つく前から、こそこそと囁かれる陰口。
“その”瞬間も、吹き飛ばされた自分の耳に入ってきたのは、呪いを吐きかける冷たい声だった。


「…これで、一族の未来は保たれた。二度と生まれてくるな、厄災の子よ。
お前を産んだせいで、妻は命を絶った…この、疫病神が…!!」

「…ちち、う…え…」


自分の意識はそこまでだった。
ただわかったのは、道場帰りの自分を、父が車ではねたという事だけ。

走り去っていく父の車を霞む視界で追いながら、意識は闇に落ちていった。



○○○
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