捧げ物

□天才少女のお料理特訓
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「今日の料理はあたしが作る!」

「「…え(は)?」」





天才少女のお料理特訓





今日は町から結構遠くまで行ってしまって、暗くなってきたからここで野宿することにした。

そのためにテントを張り、火を焚き、終わったところでちょうど夕食の時間になったから当番の俺が作りに行こうとした。

そしたら、突然リタが自分が作ると言い出して…


もちろん、みんなは止めるわけで


「い、いいよ!今日はユーリが当番だし…」

「そ、そうよねぇ…わざわざリタっちが作らなくてもいいんじゃない?」

「そうですよリタ、突然どうしたんです?」

「別に…作りたいから作るだけよ…」

「で、でもさ…」

「下手なのは自覚してるわよ…」

「そ、そんなことないですよ…」

「それに…」


そういってリタは俺のほうを向いて睨みつけてくる。


「ん?なんだ?」

「べ、別に…」


するとジュディが何かを察したように見えて、


「ふふ…それなら、ユーリと一緒に作ればいいんじゃないかしら」

「は?俺が?」

「それは嫌。自分で作りたいの」

「なら、ユーリにアドバイスしてもらえばいいんじゃないかしら」

「う…わ、わかったわよ…それで…」


さすがにジュディには勝てないようで、リタは観念した。



「そうとなれば早速作りに行こうぜ〜」

「あ、ちょ、待ちなさいよ!」




ジュディがなにに気が付いたのかはわからないけど、とりあえず料理場に行くことにした。













「おいリタ、分量ちげぇぞ」

「え…?あ…」

「しかもこれはこう切るんだよ」

「う…わ、わかってるわよ…」

「はいはい…ってリタ、これ塩じゃなくて砂糖だぞ…ったく…ベタな間違いすんなぁ…」

「う、うるさいわね…」


リタにアドバイスをおくるために調理場の椅子で様子を眺めてるが…って


「おいリタ!火強すぎんぞ!」

「もう一回一回うるさいわね…」

「中身が焦げてもいいならそのままでいいけどな?」


そう言うと慌てて火を弱める。
マジで危なっかしくて目が離せない

ほんとなんでこいつはいきなり言い出したんだ…


「ったく…お前はもういいからどっか行っとけ…」

「嫌よ!プライドが許さないの!」


まぁプライドの高いリタが簡単に引き返さないよなぁ…


「人には向き不向きってもんがあるから仕方ねぇだろ」

「それでも!」

「はぁ…お前はなんでそんなに意地になるんだ…?なんかあったのか?」

「そ…れは…」

「どうなんだ?」

「………」


リタは暫く黙り込んで、


「あ、あんたが!」


急に声を上げて俺を睨み。
…俺がなんかしたってのか?


「俺が…なんだ?」

「前にあたしの料理を馬鹿にしたでしょ!」

「…あぁあれか…」


確かに前にリタの料理が失敗して馬鹿にした覚えがある。
あの時はすごくひどくてつい口が滑って…


「だからあんたを見返したくて…!その…」

「悪かったな」

「…へ?」

「お前の料理。あんときはちょっと腹減っててな」

「…わかればいいのよ…」

「んじゃ、もう料理すんなとは言わねぇ」

「じゃ、じゃあ…!」

「そのかわり、俺も手伝う」

「…は?」

「別にそんぐらいはいいだろ。それで徐々に覚えていけばいい」

「…わかったわよ…」

「うしっ!そんなら料理再開だ!飯が冷めちまうしな」

「ちょ、待ちなさいよ!」

「あっこれ切ってくれ」

「さっきまであたしが料理してたのよ!?」

「まずは手伝いから始めたほうがいいだろ?」

「…わかった…じゃあ包丁貸して」

「手切んなよ〜」

「そんなドジするわけないじゃない!」

「はいはい」





それからは俺かリタが当番になる度に二人で作ってる。
危なっかしいけどま、一人よりは賑やかだからこれでいいかもな。













(んじゃ、次はこれ切ってくれ)
(たまには味付けとか交代させなさいよ…)
(一個一個覚えたほうがいいだろ?)
(わかったわよ…)

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