Novel

□意地悪サンタクロース
1ページ/1ページ

「今日はクリスマスですよ」


今日は休みをとることにし、みんなは自分達で適当に散らばった。
ユーリは「ナム孤島に行く」と行って、バウルを使って飛んでいった。
ジュディスはユーリを送っていき、カロルとパティはラピードと遊び、フレンは騎士団やることがあるらしく、おっさんはその辺で飲んでるだろう。

あたしとエステルは特にすることないから部屋で本を読んでいた。
すると突然、側にいたエステルが本を読んでるあたしに話しかけてきた。
かと、思えば、聞き慣れない単語を発した。


「クリスマス?なによそれ」

「クリスマスとは、一種のお祭りみたいなものです。クリスマスの夜に子供達はサンタクロースという人からプレゼントが貰えるんです」

「ふぅん…」

「他には大切な人と過ごしたり…ですね」

「大切な人…」


ふと、あいつの顔が浮かんできた。
あたしはそれを振り払うかのように頭を左右に振った。
エステルが心配そうに「どうしたんです?」と聞いてから「な、なんでもない///」と、顔を真っ赤にしてエステルから顔を背けた。
エステルは首をかしげて「そうですか?」と聞いてきた。そしたら次は、

「だから、今日はユーリと一緒にいたらどうです?」
…と爆弾発言してきた。


「な、なんであたしがあんなやつと一緒にいなきゃ行けないのよ!///」

「だってリタ、ユーリのことが好きなんじゃないです?」

「な…!」


自分では隠してた。
なのに何故、バレたのか。
さすがいつもそういう本を読んでいて、人をよく見てるだけはある。
このことに関しては(女に関してのみ)鋭いのだろう。


「で、でも肝心のあいつがいないじゃない!」

「夜には帰ってきますよ」

…もう勝てる気がしない。
しばらく黙ってたらエステルが

「今日はユーリ以外は町のパーティに行くから二人きりになるチャンスですよ!」

と言ってきた。
なんて変な気のきかせかただと思った。
それにしても、

「あいつはなんで行かないのよ…」

「なんでも「めんどくさい」だそうです」

「…ま、あいつらしいわね…」



その会話の後、少ししたらユーリは帰ってきた。


そして夜、ほんとにユーリ以外パーティに行ってしまった。
今、宿屋の中で二人きり。
別の部屋で研究でもして気をまぎわらせようとして本を読んでた時、突然ユーリが部屋に入ってきた。
昼間にあんな話してたからまともに顔を向けれず、つい目を背けた。

「ちょ、ちょっと!ノックぐらいしなさいよ!」

「あ〜わりぃわりぃ」

「何そのひどい棒読み…まぁいいわ。」

ユーリはあたしの座ってるベットの横に座った。
あたしは恥ずかしくなってつい距離を開けた。

「で、なんの用?」

「いや、暇でね。それにみんながパーティに行ってる中、天才魔導少女さまは一人寂しくなにしてるのかな〜、と」

「べ、別になんだっていいじゃない。それにあんただって同じでしょ…」

「だってめんどくせぇし」

昼間にエステルが言ってたのとほぼ同じ答えが帰ってきた。

「あんたってあいからわずねぇ…」

「ま、他にも色々あるけどな」

「なによ、色々って」

「それはお楽しみだ」

「なによそれ…」

「まぁまぁ。リタ、ちょっとこっち来い」

「何、急に」

「いいから」

「ちょ、ちょっと、離しなさいよ!」

ユーリは無理矢理あたしの腕を掴んで自分のほうに引き寄せた。
そして頭を撫でる。

「以外ときれいな髪してんだな」

「以外ってなによ!てかいい加減やめろ!」

「落ち着けっての」


すると、ユーリは自分のポケットに手を突っ込んだかと思えば、きれいな桜の髪飾りを取り出した。


「え…それって…」

「ナム孤島のポーカーの景品」

「それ…高くなかった?」

「まぁそれなりにな。にしてもポーカーって難しいのな。あんなに頭使ったの久々だわ」

「じゃあなんで…」

「前にあそこに行った時にお前珍しく欲しそうにしてたろ?」

「そ、それは…///」

確かに、前に行った時に見かけた。
でも、可愛いげのないあたしがこんなものつけたって似合わないに決まってる。そう思って諦めた。

「図星だろ?」

「うっ…」

「まぁだから今から髪につけてやるから少し待ってろ」

あたしは珍しく大人しくなってされるがままになった。

「ほい、出来たっと。以外に似合ってんじゃねぇか」

「え…」

「お前、自覚ないのか?十分お前可愛いらしいぞ」

「な、なによそれ…。」

「もっと自信を持てって」

「…」


なんか悔しい。
さっきからずっとユーリに振り回されっぱなしで…



ギュッ


「リ、リタ?」


気付いたらユーリに抱き着いてたあたし。

そして―


チュッ


ユーリの頬にいきなりキスをした。



「…クリスマスプレゼントのお、お礼よ…」

「はっ大胆なやつ」

「なによ…わるい?」

「いや、寧ろ嬉しかったぜ」

「…バカ」

「次は唇同士でやってやろっか?」

「な…!」

「冗談だよ」


こ、こいつ…!

でも…


「…べ、別にいいわよ」

「…は?」

「だから、別にしてもい…!…ん…」


今度は、ユーリがあたしの言葉を止めるように、



「ふぅ…」

「い、いきなりやらなくても…!」

「でも、悪い気はしなかっただろ」

「う…うっさい」


そしてあたしの頭をくしゃりと撫でる。


「ねぇ…」

「なんだ?」

「その…抱き着いても…いい…?」

「…どうぞ」


そしてまた、ユーリの胸に顔を埋め、両手を後ろにまわす。

そして、ユーリもまたリタを包み込むように両手をまわす。


暫く、二人でずっと抱きあってた。


そのままいつのまに、目を閉じてた。














(…リタ?)

(…すぅ…)

(ったく…しょうがねぇなぁ…)















おまけ
「そういえば、なんでユーリはナム孤島に行ったの?」

「あの人も少しは女心がわかってきたってこと」

「ふ〜ん…あの青年がねぇ…。でもそれと何の関係があるって言うのよ」

「うふふ…」

「あれ?エステル、なんで笑ってるの?」

「ふふ…」

「ジュディスちゃんまで?どうしたってのよ?」

「なんでもありません」

「そうね…なんでもないわ」

「なにさ二人して…」

「ま、少年、女の秘密ごとに首突っ込むのは野暮ってもんよ」

「う、うん…そうだね…」







------------------------
一応クリスマスってことで
何処がクリスマスとか言わない約束で(殴
後あまりタイトルが関係してないような気がするけどキニシナイ(蹴

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ