Novel

□Happy?Valentine!
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今日はエステルの要望で一日中休みがとることになった。


そのエステルはというとジュディスと一緒に大量のチョコを買って台所へ向かって、一時間ぐらいたとうとしてる。

あたしは本も読み終えたし、暇だからエステルの様子を見にいった。

すると、ちょうどエステルとジュディスが出てきて、その二人の手にはそれぞれ4つの袋が。

エステルのは姫らしく可愛く、上品に、ジュディスのは大人っぽい感じにラッピングされてある。

そしてそれぞれ1つだけ豪華そうに作られたものが。

「あらリタ、あなたもチョコを作りに来たの?」

「作りにって…なんであたしが?ていうかなに…どしたの?そのチョコ」

「どしたのって…リタ、今日はバレンタインですよ!」

「は?バレンタイン?なにそれ」

「バレンタインとは大切な人にチョコを渡す日ですよ」

「他に友達とかにいつもありがとうって意味であげたりもするわね」

「大切な人…ね…」

エステルやジュディスはやっぱり男性陣に上げるのかな…
そして他のと違う特別なやつは誰に…ユーリにあげるのかな…
ってなんでユーリの名前が!?

あたしは顔に熱が帯びるのが自分でもわかって、それを振り払うように頭を左右に振った。


「リ、リタ?」

「なんでもない!なんでもないわよエステル!」

「そ、そうですか…」

「ふふ…」

「な、何笑ってんのよ!」
「いえ…安心してね」


ジュディスまるで自分の心がわかったように語りかけてきた。

まさか…待って!言わないで!


「別にこれはユー「それ以上言わないで!」

「あら、まだ最後まで言ってないけど」

「いいい言わなくていい!」

「ああ、そういうことですね!」

「そういうことじゃない!」

「私もまだ何も言ってませんが…」

「う…」

「そんなに気になるならリタもユーリに作ればいいんじゃない?」

「は!?な、なに言って…」

「そうですよ!ほら、レシピも材料もいっぱいありますよ!」


そう言ってあたしの手にレシピを持たせ、背中を押して台所へ行かせた。


「エ、エステル!?」

「ふふ…頑張ってね」

「ジュ、ジュディスまで!?」

「では、私達は渡しに行ってきます!」

「え、ちょ、ちょっと」


あたしの必死な声もむなしく、二人は離れて行って、
あたしは台所へ取り残されてしまった。


「…しょ、しょうがないわね…作ればいいんでしょ作れば」


そして・・・


「はぁ・・・はぁ・・・わ、我ながらうまく出来たんじゃない!?」


あれから台所でだいぶ料理と格闘した。

例えば、チョコをコンロで溶かしてたら火にかけすぎて真っ黒焦げになったり、チョコを溶かしてる最中に手が滑って周りにぶちまけたり、
それは色々あったが、ここで書くとキリがないので省略する。

そして、台所は一面チョコだらけ。
掃除が大変そうだと我ながら思った。

さらに、あんなにあったチョコ(多分まだまだ5、6人分作れた)が全て無くなって、目の前には一人分のものが。


「どうすんのよ・・・これじゃ全員分だって言い訳できないじゃない・・・」

「あら〜リタっち、随分派手にやったわねぇ・・・」

「んな!?」


色々どうするか考えてるとおっさんがいつもみたいにヘラヘラしながら台所に入ってきた。

こんな考えてる時に・・・!!
ってそうよ、おっさんに台所の掃除を任せちゃえばいいのよ。

そう考えてると、急におっさんが


「んで、そのチョコ誰のよ?」

「・・・!!!あ、あんたには関係ないでしょ!」

「まさかおっさんに・・・」

「んなわけ無いでしょ!」


ありえないことを言ってるおっさんに向かって右ストレート。
うん、結構うまく決まったんじゃない?


「ぐはっ!リ、リタっち・・・冗談じゃない・・・」

「うっさいわね・・・」

「それは青年に渡すものでしょ?」

「は!?」


なんで?なんでわかんのよ・・・!?

あたしは今、また顔を真っ赤にしてるだろう。

そんなあたしをこいつはいつものうざい感じでヘラヘラ笑って、


「図星ねぇ〜わかりやすいのよ、リタっちは」

「ううううっさい!」


さっきと同じところにもう一発、右ストレート。


「リ、リタっち・・・もう一回はキツいわよ・・・」

「あんたが変なこというからでしょ!?それよりここ、あんた掃除しといて!」


そう言ってあたしはチョコを持って台所から逃げ出すように走っていった。


「えっちょっリタっち!?・・・ま、今回だけは許しますか」









あのあとリタはユーリの部屋の前でずっと考えをまとめてた。


「とはいってももう一つは解決してないのよね・・・」


そう、まだどうやってユーリにあげるか。
これはまだ解決できていない。
一個だけだから全員分っていうのはもうできない。

そうよ!
確かジュディスが友達にもあげるって言ってたわよね!
だからこれは友達にってことにして・・・。
まずは深呼吸深呼きゅ

「どうした?こんなところで」

「ひゃあ!!?」


急に声がするから振り向いたらユーリの顔が・・・って!?


「ちょちょちょっと!なんであんたがここにいるのよ!?」

「それはこっちの台詞だ。俺の部屋の前で何やってるんだ?」

「そ、それは・・・」


なんとか言い訳を探してたらユーリが何かに気付いたらしく、


「ん?なんだ?それ」

「へ!?あ、あああのこれは・・・!」

「ふ〜ん・・・」

「な、なによその顔は!?」

「いや、お前でもそういうとこあんだなって思ってな」

「・・・!!!」


ユーリに図星を突かれてあたしは顔を真っ赤にした。

もうこうなったら覚悟を決めて渡してすぐ逃げるしか・・・!


「ああああのここここれ!」

「ん?あぁ」

「そそそそれはそそそそのあのあの渡すような相手があんたしかいなかったから!
ガキんちょやおっさんには渡したくもないし、フレンは騎士団で忙しいだろうし!
あんたぐらいしか渡せるような相手がいなかったから!その・・・それだけだから!」


そう言い捨てて逃げようとするあたしをユーリは逃がさないように腕を掴んだ。


「ななななによ!」

「まだ礼言ってねぇだろ・・・」

「は!?」

「ありがとな、これ」


そう笑って言うユーリにあたしはさらに顔を赤くした。


「それから、ホワイトデー、期待して待ってろよ」

「は!?なによそれ!?」

「いいから、んじゃな」


そしてユーリはあたしの手を離した。

あたしはすぐに逃げるようにユーリの元から離れる。


ホワイトデーについては後でエステルに聞くとして、
これからはあいつにどう顔を向ければいいのよ・・・!













Happy?Valentine!








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どうも〜
2/14ということでバレンタインネタです
(なんとか間に合った…!)

新サイト開設直後にこれはどうかと思いますけど(ぁ
ま、まぁそこは気にせずに!(殴

後タイトルはやっつけです(蹴

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