短編

□酒は飲んでも…
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日が陰り出した夕方
俺は、ゆっくりと家路に向かっていた。

明日と明後日は、裏表共に休みで、久々に貰った連休。

本当はナルとゆっくり過ごしたいのだが、タイミング悪く、ナルは暗部での任務中。
自分の表と裏の顔を知っている上忍、暗部隊員を連れて、長期任務に出ていた。

しかも急遽入った任務だった為に、帰還予定日すら聞けていないのだ。

「はぁ…早く帰ってこいよなぁ…」

ナルが任務に出てから、今日で4日目。
たかが4日目かもしれないが、俺からしたら耐えられない。

ため息をつきながら歩いていると、表では久しく会っていなかった面子の気配がした。
気配のする方に視線を移すと、イノとチョウジがいた。

「シカマルー!!」
「よぉ…」
「久しぶりだね」

俺に気づいたイノが大きな声で名前を呼び、チョウジがニコニコと話しかけてくる。

「お前等も今夜は休みだったな」
「そうよー
やっと休みが貰えたのよ」
「シカマルも休みなんだよね?」

イノとチョウジは、暗部一番隊隊員であり、俺とナルの裏の顔を知っている。

「あぁ、別に仕事でも良いんだけどな」

ため息と共に出た俺の言葉に、二人は苦笑いを浮かべる。

「ナルトがいないからでしょー
そうでなきゃ、絶対にそんなこと言わないものね」
「確か、アンコさんと、イルカ先生と、カカシ先生の3人を連れて行ってるんだよね?
だから心配なんだね」
「…うるせー」

二人の言う事に反論出来ない俺は、顔を背けてゆっくりと歩き出した。

後ろでイノとチョウジが笑ってから、後を追い掛けてくるのが分かる。

あまり会話もなく歩いていたが、不意に感じた気配に立ち止まる。

急に歩を止めた俺に、イノとチョウジは首を傾げる。

「シカマル?」
「どうかしたの?」
「あそこ…」

聞いてくる二人に、俺は一つの店を指差す。

目で気配を探れと言えば、二人は店の中の気配を確認する。

初めは首を傾げていた二人だが、店の中にいる人物に気付いた様で、こちらに振り返る。

「アンコさん?」
「それと、イルカ先生とカカシ先生?」

そう。
俺達の目の前にある居酒屋からする気配は、ナルと任務に出ているはずの三名のものだった。

「任務、終わったのかしら?」
「それならナルトも帰ってるはずだろ」
「ナルトは気配を完璧に消すからなぁ…」

俺達が呆れて頭を抱えていると、店の扉が開いた。
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