頂き物&捧げ物
□電波ジャック
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影月(シカマル)Side
長期任務中、不意に繋がったインカム。
緊急事態かと思い、相手に声をかける。
『影月だ。
何かあったか?』
『………』
声をかけるも反応がない。
ノイズ等が聞こえないから、やられた訳ではなさそうだ。
間違って入ったのだろうと思い、通信を切ろうと思った時、ふと。頭に浮かんだ人。
まさかと思いつつ、その人物の名を呼んでみる。
『…狐月?』
『……影月……』
耳元で、インカム越しに聞こえた愛おしい声に驚く。
狐月とは別任務に付いている今、狐月からの無線が入るはずがないからだ。
『狐月、お前なにしてんだよ…』
『…えっと…その…』
不意にとはいえ、2週間振りに聞いた狐月の声に、嬉しい半面、少し心配になる。
仕事中の電波ジャックなど、仕事とプライベートをしっかりと別けている狐月には、ありえない行動だったからだ。
吃って言葉が出ない様子の狐月に苦笑を浮かべ、用がないなら切るぞ。と言えば、インカム越しでも狐月が慌てているのが分かる。
『……て、……ぃ…』
『え?』
狐月は何かを呟くと、すぐにインカムの通信を切った。
『……』
通信の切れたインカムを握りしめ、片手で顔を隠す。
狐月が小さな声で、囁く様に紡いだ言葉。
そんな小さな声でも、俺の耳にはしっかりと聞こえた。
"影月がいなくて、淋しいです…"
『……の、ばか…//』
なんだアイツは。
もしかしなくとも、淋しさの余りに電波ジャックなんかしたのか?
可愛い過ぎだろ!!
俺は立ち上がり、インカムを繋げた。
「ククッ…仕方ねぇな……全員聞こえてるな。
今から俺の言う通に動け。
いいか…まず…」