彼岸島

□背中越しの体温
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吸血鬼にされて一日が立った頃、血が欲しい僕は寝れずにいた…




「血が…欲しい…よ…」



壁を背に寄っ掛かり、体育座りで呟いた。
明、ケンちゃん、ユキ、西山と加藤には逢いたく無いけど…みんなに逢いたい…




「苦しいか?血を飲みたくて…」



「…雅…」




格子の向こうで松明を持ってる雅が来た。
僕はただ呟くしか無い…コイツのせいで僕は吸血鬼になったんだ…




「…貴様、そんなに血が欲しいか?」



「くれるわけ無い癖に…」




俯きながら言えば格子が開いた。




「な、何で入って来るんだよ!アッチに行け!」



「クックックッ、貴様に指図されて出て行くわけ無いだろ?」




僕の隣に座った雅をチラッと見た…
見た目はカッコイいの……




「(違う!何で雅がカッコイいんだよ!カッコイいのはケンちゃんや篤さんとかだろ!?)う〜」



「?、悩み事か?は、もう少しで邪鬼になるのにか?」




頭に両手を添えて考えていたら雅が笑えば僕の顎を掴んだ。




「(な、なななな!何で!?)」



「牙はちゃんと生えてるのに良く我慢するな…」




顎を掴み、開かせたら牙に触れた。




「(何でドキドキするんだよ!)ち、近寄るな!」




バシッと雅の手を叩いた僕に雅は一瞬唖然としたら立ち上がった…




「クックックッ威勢だけは良いな。」



「う、煩い!早く明にやられちまえ!」




叫んだら何故か頭を撫でられた…
体は血が欲しくて熱いだけだ!違う…僕は…雅何かに……




「精々私の役に立つ邪鬼になって欲しい物だ。」


「だ…だれが…」




顔を背けながら言うと雅は出て行った。
ちゃんと鍵も閉めて…
コツコツと靴の音が聞こえなくなったらゴロリと横になった




「(触れられた場所が熱い…)明…」




僕の体はおかしくなって来たのだろうか…
雅に触られた箇所に熱が行く…?
明、ケンちゃん、ユキ…西山、加藤…僕は……




「雅を恨んでる…よな?」




自問自答した後眠りに落ちた。















「雅…」



「どうした?」



「何で僕に寄っ掛かるの…?」




アレから深夜頃になると雅はやって来る事が多くなった…
今は雅が僕の背に寄っ掛かっている。
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