彼岸島

□背中越しの体温
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「丁度良い椅子が有るからな」



「僕に言ってるのかよ…はぁー」




血が欲しくて息が荒くなるけど僕はそんな事より雅と居る方がドキドキする…




「雅…」



「何だ…?」



「僕…コレからどうなるの?」




沈黙が続く…
最近吸血鬼達が邪鬼になるのも時間の問題だと言うからだ。




「…邪鬼になり、私の下僕となる…」



「操り人形の用に…?…僕、生きたい…生きたいよ…」




現実を受け入れたくない…
気付いたらポロポロと泣いている。
雅は僕が泣いてるのが気付いたのか頭を撫でてくれた




「ッ、慰め何て…いらない…みんなに、みんなに逢いたい…逢いたいよ…」




止まらない涙を何度も何度も腕で拭ったら抱き締められた…




「すまない…」



「う、うぅ〜」




暖かい…
吸血鬼なのに暖かい温もりに雅の背に腕を回せば泣き叫んだ。
雅は優しく頭を撫でながら慰めてくれた




「う、ヒック…僕、死にたくない…!みんなと笑いあったり、泣いたり、恋をしたい…!」



「…一つだけながら出来るぞ…」




一つ…だけ?
みんなに逢える事?
笑い逢える事?
泣くのは…もうやってるけど…




「私に惚れろ。」



「ほ…れ…ろ…?」



「そうだ、そしたら【恋】になるだろ?貴様の意見は認めないがな…」




雅はクスリと笑えば僕を立たせた。




「今夜の月は綺麗だから見せてやる。」




手を握られ格子から出させて貰った…













「雅様!?どうしましたか!?」



「気にするな。」



「何故コヤツを外に…?」



「ただの散歩だ…貴様等は見張りをしていれば良いだけだ。」




雅に連れて行かれた場所は彼岸花が咲いていた。まだ繋がれた手に目を向けたらギュッとされた…



「…離せよ…」



「逃げるだろ?貴様は…」




逃げられるわけ無いのに…
ドカッと雅が座る為僕も座った。
繋がれた手に目が行ったのをバレたらしく手を引かれた…




「何…!」



「挨拶だが…?」




手の甲に雅の唇が落ちただけでドキドキしてる…な、何で僕にこんな事するんだよ!




「貴様…私に惚れないのか?」



「ぜ、全然…!」
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