龍使者BOOK

□第一夜
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時は19世紀。夜な夜な、奇怪が起きている世の中でここ、黒の教団でも異変が起こっていた。

T








教団にいるエクソシスト全員に報告する

直ちに室長室に集合せよ

以上



「珍しいさー。エクソシスト全員集合なんて…。」
「そうですね。何か余程の事があったんでしょうか?そうなれば、早く食事を済まさないと…ゴフゴフ…。」
「…。」

教団にある食堂。アレンとラビは朝食をとっていた時、彼らに対する放送がかかった。相変わらずアレンは大食い選手権のごとくの量の朝食を済ませ、ラビと共に室長室へと足を運んだ。


―コンコン―

「コムイさん、失礼します。」
「どうぞー。」
「コムイ何さー…ってうおぉお!?」
「ラビ?どうしま…わぁっ!!」

ノックをし、ドアを開けた途端にアレンらを襲ってきたもの。それは大量の紙(資料)だった。室長室は書類で溢れかえっており、声は確認できるものの室長の姿が見えない。

「コムイさん!これは何ですかー!」
「あーごめんねぇ。一気に仕事が来たもんだからさぁ。あ、来たついでにそこら辺の書類、君らで片付けといて☆」
「まじかー…。」
「ラビ、やりましょう?;どっちにしろ、ここを整理しなくちゃ通れませんし…。」
「そうさね…。」

ドア付近だけでも信じられない量の紙。今のところ来ているエクソシストは二人だけだった。二人だけで、全部片付けようと思うと気が遠くなりそうだ。

しぶしぶと書類を拾うラビ。すると、その書類に記されてる、ある言葉が目に飛び込んできた。

龍の使者

「龍の…使者?」
「ラビ、どうしました?」
「ほら、これ。龍の使者って書いてある。アレン知ってるか?」
「あ、ほんとだ。何ですかね?ラビでも知らないんですか?」
「んー…聞いたことないさー…。」

首を傾げる二人。
ブックマンの後継者であるラビでも知らないとなれば、もちろん、アレンも知らない。

「コムイー、龍の使者って何さー?」
「実はね、今回君等を呼んだのは、その使者に関することなんだ。」
「え?」
「まぁ、それを片付けたら教えてあげるから、頑張って☆」
「「げぇ―――!!」」

コムイの押し付けな命令に、二人は強制的に働かされることになった。しかし、片付けにはそう時間はかからなかった。





「や…やっと終わったさ…。」
「色んな意味で任務より疲れた…。」

大量の紙、もとい資料は綺麗にまとめられ、部屋には床が全面、とは言えないがほとんど見えるぐらいなった。アレンとラビがソファに腰掛け脱力していると、扉が開く音がした。

「コムイ兄さんお待たせー。」

暫くして入ってきたのは教団一の美女とも噂されているコムイの妹、リナリーだった。リナリーは部屋の異変に気付いたようで、目をキョトンとさせている。

「あら、綺麗になってる。」
「おー…リナリー…」

暗い声が聞こえ、その声の方を見ると顔を真っ青にさせたラビとアレンが見えた。リナリーは驚きの声をあげる。

「え、ラビ大丈夫!?顔が真っ青よ!?アレン君も!」
「これ片付けたの僕達なんですよー…。」

元凶が自分の兄だと知ると「あぁ…」と呆れた様子で兄コムイを見た。

「なるほどね…。お疲れ様…。コムイ兄さんには何度も自分で片付けるように言ってあるんだけど…。」
「リナリー酷いよ!!お兄さんだって一生懸命頑張ってるじゃないか!!」

反論するコムイに誰もが(何だこの人)と思い、珍しく考えが一致した瞬間だった。
気を取り直して、やっと本題に入る。だが、明らかに人数が少ない。何故だろうか、と思いアレンがコムイに問いかける。

「集まるのはこれだけなんですか?」
「いや、後でブックマンが来るよ。」
「少ないさね。」

それもしょうがなかった。エクソシストは年中無休で世界を飛び回っている、唯一の世界の救済者なのだから、教団に全員集まる事はまずないだろう。

「室長殿、邪魔するぞ。」
「あ、パンダ。」

―ゴッ!!―

「いってー!」
「誰がパンダじゃ。」

目の回りに特徴的なメイクをしているこの人物は世界の記録者ブックマンでもあり、ラビの師匠。ラビの「パンダ」という声すぐ反応し、頭に拳を投げつけるように殴る行為も見慣れたようなものだった。これで全員が揃い、やっと本題に入る準備が出来た。





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