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□vampire cross -5-
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担任の面白くも無い諸連絡は聞き流して終わりにし、教室は活気に溢れていた。
何しろ、やっかいな期末テストが終わったのだ。
そこかしろで、遊びに行く計画がたっていないはずが無い。龍樹の周りでもそれは例外でなく...
「龍樹ーっ!カラオケ行こうぜっ」
「ん?おう。行くか」
「マジ?やった!!おぃ、みんな。龍樹カラオケ来るってよ」
「うっそ、マジで!?」
明るく龍樹を誘いにきた級友に龍樹が頷くと、一瞬惚けてから、嬉しそうに後方で喋っていた一団に声を掛けた。
一斉に驚いた顔で、龍樹と級友の方を向く。
「んだよ。行っちゃいけねーのか?」
「逆々。普段の龍樹、付き合い悪ぃし、嬉しいんだって」
「そぅそ。決まったら、サッサと行こうぜ」
不振げに三白眼で睨む龍樹に、みんな首を振り否定する。
それでも視線を緩めない龍樹に苦笑しつつ、龍樹を誘った級友・翔平が背中を押した。
「ほら、怖い顔するなって!行こーぜ。カラオケ屋混んじまうだろー」
龍樹に向かっていた言葉は、最後には顔をぶんぶんと振っている周りに呼び掛けるようだった。
翔平の苦笑混じりの笑顔で、一同は鞄を持ち、教室を後にする。
外は蝉が飽きる事無く、合唱を続けていた。