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□vampire cross -7-
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ラスティが連れてきたのは、案の定というか例の喫茶店。
晧々と光を漏らしてはいたが、店内には居るはずの店主の姿が見えなかった。
「入んねぇの?」
「誰も居ねぇのにいいのか?」
「構いやしねぇって」
ズンズンと店の奥に行くラスティが、躊躇している2人を促し、龍樹と翔平は恐る恐る店に入った。
ラスティが座ったのは1番奥にある静かな(もっとも店内はどこも静かだが)BOX席。龍樹と翔平も一瞬視線を交わしたあと、ラスティの正面に座る。
「さて、どーやったら納得する?」
「その前に、話の内容を話しやがれ」
何の前置きもせずに、本題をも飛び越えたラスティの言葉に、龍樹がすかさず突っ込みを入れた。
納得するしないは別として、ココにくるまでにラスティの素性は翔平に教えてある。今はただ、コトの顛末を黙ってみることにしているらしい。頬杖をついて、龍樹とラスティを眺めている。
「ぁ?話してなかったか」
「してねぇよ。頭ん中で自己完結してんじゃねーよ」
「煩せぇ。…龍樹に付いてきてほしいんだよ」
「…どこに?」
「ヴァチカン」
また巻き込む気かそんな空気をだした龍樹に、ラスティがこれ以上簡潔にしようがない一言で答えた。