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□vampire cross -6-
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「やぁー歌ったなぁ‥」
「そだな」
「今、8時くらいか?」
「そーだな…」
「‥…龍樹?」
「そーだな…」
「うぉりゃっ!!」
「ッ‥何しやがる!!」
ずびしっと龍樹の後頭部に、翔平のチョップがきまり、暗い公園に龍樹の怒鳴り声が響いた。
その声の大きさに横を歩いていた翔平は眉を寄せたが、すぐに顔を不満で膨らませる。
「何するって、さっきから生返事しかしない龍樹が悪いんだろ?どーしたんだよ」
「ぇ?あ‥な、なんでもねーよ」
「ホントにか?」
「あぁ。今日の英単語今になって思い出したのがあってよ」
「ぎゃー。馬鹿、テストの話なんかすんな!!」
龍樹はニヤリと笑うと、テンションの高いままであった翔平が耳を塞いで嫌々と首を振る。
平和だった。
一ヵ月前、今まさにいるここで、起きていたことを総て知る龍樹も安心できるほどに。