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□vampire cross -3-
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 龍樹はあの雨の日以来、ラスティと出会った公園を避けていた。
 ラスティと遇いたくないのも理由の一つだが、学校であの公園に関する噂が流れていたのだ。
 曰く、『公園に、吸い取られたかの様に血が無くなった死体が転がっているらしい』と。
 そんな事が事実起きているとしたら、警察やTVが黙っちゃいないだろう。
 しかし、そんな話題、龍樹は聞いた事も見た事もない。だが、そんな噂が流れていること自体が不気味で、無闇に近づこう等というのは、ただの物好きかアホだけだろう。
 生憎、龍樹はそのどちらでもなかった。そう龍樹は。




「なぁー。知ってっか?またあったんだってよ例の」

「例のって…あぁ。アレか」

 龍樹はそうであっても、他の級友達は違う。
 普段、刺激の少ない学校生活を送っている彼らには、地元で起きている猟奇的な怪事件は、格好の獲物なのだ。

「血が全部無くなってるんだろ?噂どおり、吸血鬼の仕業だったりしてなー」

「おぃおぃドラキュラかー。なぁ、龍樹はどう思うよ?」

 笑えねぇーと言いながら、クラスメイトの独りが、それまで話に加わっていなかった龍樹に話を振った。
 輪の中に居るものの何も喋っていなかった龍樹は意外そうに、しかし嫌そうな顔で、「さぁな」とだけ答えた。
それが周りに居る級友は意外だったが(龍樹はクラスでは比較的愛想がいい)、きっと体調が良くないのだろうと、好意的にとり話を無理に振ることはなくなった。

「でもよぉ。マジで気になんねぇ?怪事件なんて滅多にあるもんじゃねぇだろ」

「だよなぁ」

「なぁ!!犯人捕まえたりとかしたら、やっぱ表彰とかされんのか」

 龍樹が加わらなくても、話はどんどん進んでいく。
 しかし、級友の会話は、少し危険な方向に向っていた。

「さぁ…?」

「でも、捕まえられなくても興味ねぇか?犯人」

「まぁ…なぁ‥」

「見に行ってみるか?」

 好奇心の塊である、男子高校生が興味を持って止まる訳がなく…。
 どんどん話は盛り上がっていた。


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