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□vampire cross -1-
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--世界なんて消えちまえばいい--
その日、龍樹はそんな気分だった。
別に今の生活に不満があるわけでもなく、嫌な事があったわけでもない。
ただ何となくそんな気分だったのだ。一言で言うなら、『ツマラナイ』だろうか?
「あ゙ーー!!」
ゴスッ.......どさっ
「....はぁ?」
八つ当り気味(気味じゃなく立派な八つ当り)に龍樹が、傍にあったケヤキの樹を蹴り付けると、人が墜ちてきた。
樹から墜ちてきた人は、ゴシック風とでも言うのだろうか...黒く鎖が付いた服を着ている。
「痛ぁ〜..。んだよ。急に」
龍樹が目を丸くしてると、その人は立ち上がる。高かった。
龍樹だって170cm弱だから低くはない筈だが、目の前の人物は裕に185cmはあるだろう。
男っぽい顔立ちに、長めの黒髪、そして目の色は深黒。身長と相まって男にしか見えないが、声のソレは間違いなく女である。
2人は無言でお互いを確認するように見合った。
「…何見てんだよ」
「何で木から落ちて来んだよι」
ハスキーな声で訊いてくる相手に龍樹は驚きつつ呟く。
聞こえないだろうと思ったが、しっかり耳に届いたらしく目の前の彼女はうざったそうに応えた。
「別にそんな事オレの勝手だろ。つーか、質問に答えろや」
「普通、樹から人が墜ちてきたら、驚いて見るだろ」
「あ゙?寝てる時に揺れたら、墜ちんのは当たり前じゃねぇか」