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□Happy Halloween,happy?
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 積極的なのはハボックとフュリーだが、ブレダとファルマンも消極的な訳でもない。
「…まあ確かにちょっと興味あるけどな、大佐の女装」
「そうですね。本来のハロウィン仮装の意義からはどうかと思いますが、確かに面白そうです大佐の女装」
 もはや仮装ではなく女装と言い切っている部下たちだった。
「よーし、指令室代表者の仮装は魔女っ子に決っ定ー!!」
 ハボックの宣言に一同賛同の声を上げた。一人を除いて。
「あ……中尉…」
 それまで一言も発せず、何か考え込むような表情でいたホークアイに気づき、全員のテンションが一気に下がった。
「え…と、スンマセン。勝手に決めちゃって…」
「てか…その、ふざけすぎ、ですよねぇ?馬鹿ハボとフュリーが」
「やはりハロウィンらしい格好を…いえ、魔女もハロウィンらしいといえばらしいのですが…」
「流石に…女装なんてダメですよ、ねー…」
 4対の視線が怖ず怖ずとこの場の最上級官を見つめた。
 しかし彼女の口から出たお言葉は、
「……私の少し大きくて着れない服があるから持ってくるわ。サイズは手直しすれば大佐も着られると思うし、魔女っぽくデザインをリメイクすれば良いわね」

 
 ………乗り気だ。

 何だか知らんがホークアイ中尉が積極的だ。
 こうなったら誰も止める者も止められる者もいやしない。
「じゃ、じゃあ良いんすね。魔女で?!」
「良いんじゃないかしら?きっと似合うわよ『魔女っ子たいさ』」
「わーい魔女っ子だー!」

「…………っ!!?」
 扉をうっすら開けて、固唾を飲んで隣の執務室でことの成り行きを見守っていた東方司令部司令官は、がっくりと膝をついてうなだれた。 彼を守ってくれる者は一人もいない。寧ろ信頼の置ける直属の部下達こそが敵だった。





準備篇・終
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