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□昨日は何の日、気になる日。
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【昨日は何の日、気になる日。】



2月15日の朝の会話

「…浮かない顔ね、少尉?」
「はぁ…」
「てっきりスキップでも踏みながらご機嫌ルンルンにやけ顔でご出勤するものだと思ってたのだけど?」
「はぁ…?」
「……その様子だと上手くいかなかったのかしら」
「何が…ですか?」
「………」
「中尉?」
「ハボック少尉、昨日は何月何日かしら」
「は?今日じゃなくて昨日の日付?…えーと、2月っすよね。じゅうに…いや、さん…?」
「……(溜息)」
「え…と?」
「昨日が何の日か気付かなかったのね…」
「はい?日曜日…でしたよね。でも軍部に日曜も祝日も関係ないし…」
「……(深い溜息)」
「中尉…何を知ってんすか?もしかして大佐の不機嫌の理由を知ってます?」
「不機嫌、だったのね。そうでしょうね。折角昨日は貴方と大佐のシフト合わせて日勤にしてあげた上に残業もないように調整してしかも今日は足腰立たなくなっていても大丈夫なよう大佐を休みにしてあげたというのに。てっきりジックリシットリズッポリチョコより甘く溶けそうな熱い夜を過ごしたとばかり…」
「ちゅういちゅうい?」(焦)
「…大佐にチョコレートを差し上げたり、或いはいただいたりはしなかったの?」
「チョコレート…すか。あーやっぱアレかなぁ…。視察中に行列のできるチョコレート専門店のそば通りかかって、買いたいって言われたけどあんな混んでるとこ危険だし駄目だっつったんですよ。そういやあれから機嫌が悪いような…」
「………(深〜い溜息)」
「…そんなにあそこの店のチョコ食べたかったんすかね。司令部戻ってからクッキーと紅茶持ってったら『今日はチョコ以外食べん!』とか言い張って。大佐の大好きなアーモンド乗ったクッキーだったのに。ちょうどチョコだけは切らしてたんすよねぇ、昨日は。俺、今日大佐休みだし昨日の夜はジックリシットリズッポリお泊まりするつもりだったのに、送ってったら『今日は帰れ』ってスッゲー冷たく言われちゃうし。夕食作ってチョコのかわりに甘〜いデザートも沢山作ってやろうと思ってたのに。あああちゃんと夕飯食ったかなあ作り置きの常備菜で適当に食ってりゃいいんだけど、朝もちゃんと食べてるかなまだ寝てるかもし」
「ハボック少尉」
「れな……はい?」
「昨日は2月14日です」(笑顔)
「そう、すか」(きょとん)
「バレンタインデーです」(笑顔)
「そう、…え」
「バレンタイン、デー、です」(笑顔)
「バレンタインデー…て、去年あたりから騒がれだした、確か外国のお祭りでしたっけ…?」
「お祭り…。まぁお祭り騒ぎには違いないわね。一応恋人たちの聖なる日なのだけど」
「え!恋人?!」
「しかも発祥の地から別の国を経由してアメストリスに伝わった際に『好きな人にチョコレートをプレゼントする』なんてオプションが加わってしまったのよね」(すっごく笑顔)
「!!?」
「チョコレートよ、ハボック少尉?」
「もし…も、その日にチョコをあげなかったり、貰うのを断ったりしたら…?」(ゴクン)
「あげないのは『好きじゃない』から、断るのは『アナタの愛は受け取れません』ととられるかもしれないわね」
「(ギャーーッ!?)ごごごごごかっ、誤解!誤解です!俺そんなつもりじゃ…!」
「それを私に言われても、ねぇ?」(笑顔全開)
「ちゅうい…!俺帰りたい…!!」
「まだ来たばかりよ、少尉?」(愉快)
「ぅえ…っ」(泣)
「昨日定時で帰った分、今日は書類溜まっているでしょう?模擬演習もあるし。…今日中に帰れるかしらね?」(痛快)
「………っ!!!」(号泣)









中尉は折角の心遣いを台無しにされたのと、知らなかったとは言え大佐を傷付けた事に対して怒っています。(過保護)

このあと気も漫ろなハボは演習ボロ負けして怪我もこさえて書類も焦ってミスばかり。使いモノにならないので中尉の温情で定時に司令部から叩き出されます。

よかったね!

 
 

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