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□目は口ほどに…
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【目は口ほどに…】



「大佐〜」
「……」
 もぐもぐもぐもぐ…。
「た・い・さってばー」
「……」
 もぐもぐもぐ、ごっくん。ふぅ。
「たいさ?」
 あーん、かぷっ。もぐもぐもぐもぐ…。
「…大佐ぁ。お喋りしましょうよー。寂しいですってばー」
「……」
 もぐも…ジロリ、ぐもぐもぐもぐ、ごっくん。ふぅ。
「あー、そぅっすね。確かに調子に乗ってぶっとくて長いの作っちゃったのは俺っすけど…」
 あーん、かぷっ、んぐ。も…ぐもぐもぐもぐ…もぐ、も…。
「…咀嚼がゆっくりになってきましたね?もう残しちゃってもいいすから」
「……」
 ぶんぶんぶん!くらっ…、もぐ、もぐ、も…。
「勢いよく頭振りすぎです。ね、残りは俺が食べますよ?」
 ふるふるふる。もぐ、ごっくん。ふぅー。じぃっ。
「…食べるの飽きた?」
 こく。
「顎も疲れた?」
 こくこく。
「ジャン愛してる?」
 こ…、……。ジロリ。
「……ここは頷いときましょーよ…」
 ぷいっ。
「ははは。ほっぺた真っ赤ですよ、たーいさー?」
「………っ」
 がたっがたがた。ぷぃー。
「すいません。もう揶揄わないから、椅子ごと反対向かないで、こっち見て、ね?」
「……」
 じー…。
「え?何を見て…ラップ?」
 こくん。
「ああ、じゃあ食べんの止め……」
 がたっ。ぱしっ。シャー…、ピッ!くしゃー。
「…?!」
「たいさたいさ。俺やりますから。ラップを皺になったりくっついたりしないように皿にかけるなんて高等技術、あんたじゃ無理でしょ」
「……っ!」
 シャー!ぐっ、へにょ…くしゃ…。
「………!!?」
「だから無理ですって。不器用なんだから。はい貸して」
 パッ。シャー!ピッ!キュキュ、ピチ。ぱふぱふ。
「………」
 ぎゅっ。くいくい。
「はい。出来ましたよ。…え、何すか?明日、また食べるんですか?」
 こくん。
「…て、何でしゃべらな…、あんたまさか、これ食べきるまで喋んないつもり?!」
 こっくん。
「いや、確かに食べ終わるまで話しちゃいけないって事らしいけど、」
 こくこく。
「あ〜〜!ファルマンの奴が余計な入れ知恵を…」
 ぺちん。
「はいはい、明日ファルマン虐めたり八つ当たりしたり虐めたり虐めたりしませんよ」
 くしゃー。わしわしわし。
「わーい、もっと撫でてー」
 わしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわしわ…。
「ねー…、声聞かせて?」
「……」
 …し、ぴた。
「えーと、何のお願い事したんすか?」
「……」
「『大総統になれますように』?」
「……」
 こてん。
「上目遣いで眉根よせながら小首傾げるって、あんたなに可愛らしい仕草してんですか。微妙な反応すね、当たらずとも遠からず…?あ、」
 にっこり。
「まさか『大総統になって女性軍人の制服をミニスカにしたい』…?」
 こくこくこく。
「…あんたね……」
 がたん。ばたばた…。
「大佐?どこへ…ああ洗面所?えーっと歯を磨いて、寝る?正解!…て何すかそのジェスチャーゲームみたいな動作は…」
 ぱたぱたぱた。がちゃ。
「えー…と、ね、大佐?ひとっことも話さないって無理だと思いますよ。…え?」
 じー…。
「お前がイタズラしなけりゃ大丈夫、とか言う…」
 こくん。
「…つもりすか。マジでー?勘弁!マジ勘弁してください!」
 ジロリ。
「じゃあ大佐。せめて『俺の恵方巻き』にかぶりつ…アチ!熱い!いつの間に発火布を!?」
 パッキン!




終?

 
 
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