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□願わくば、この想いが届きますように
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なぁ市さん。お願いだから俺と行こう。俺達が、…いや俺が守るから。だから何も怖がらなくていい。悲しまなくていいんだ。俺も…みんな、お市さんが大切なんだ。生きててくれて良かった。会えてよかった。


どれだけ声を投げ掛けようとも届かない言葉。空を見つめ、瞳に何も映さぬまま何かに思いを馳せている姿を慶次は見ていられなかった。
長政が死に、信長も死んでたったひとり苦しみもがきながら戦い続けていた彼女。どれだけ捜そうとも見つからなかった彼女が今此処にいる。

慶次は必死で声をかけた。市の心へ少しでも届くように。彼女の苦しみを少しでも早く解くために。


「お市さん…俺と一緒に行こう?」

そう言ってまた手を差し出す。

「…一緒?」

「そうだ。一緒に前田に行こう!」

「市と…一緒に、いてくれるの?」

「あぁ…だから、」

一緒に行こうと手を差し出した。

一緒にという言葉に反応した市は、先程とは違い真っ直ぐとこちらを見つめている。彼女の暗い闇と深い悲しみを含んだ瞳が揺れていた。
今なら彼女に届くかもしれないと慶次は必死に呼び掛ける。

「ずっと、ずっと…市のそばに、いてくれる?」

「あぁ。ずっとずっと一緒だよ」

慶次は此方に縋るように手を伸ばす市を引き寄せると、ぎゅっとその体を抱き締めた。


「みんな、みんな待ってたんだ。お市さんが会いに来てくれることを。それに、まつねぇちゃん何てお市さんの分のお椀まで用意したんだぜ。」

「みんな、待ってる…」

「そうだよ。みんな待ってるから、前田で暮らそう。すべてを思い出せなんて言わない。お市さんはそのままでいいんだ」

「……市は、一人ぼっちじゃない?」

「あぁ。一人ぼっちなんかじゃないよ」


その言葉を聞いた途端、手で顔を覆い隠し肩を震わせて涙を流す市を慶次はきつく抱き締めた。
もう一人じゃないんだと伝えるように、伝わるように。






願わくば、この想いが届きますように
(みんな、みんな…。市を置いて、居なくなってしまったの)(大丈夫。俺は置いてなんかいかないよ)



――――――――

BASARA3設定の慶次→市です。

ゲームプレイした人にしか優しくない小説かもですね。いまいち意味が分からない。まぁプレイしていてもわからないかもです(笑)

次は早く大谷さんと三成さんが書きたいな…と思案中。ですが、その前に幸市とかも書きたいのにー。

何にせよ何故慶次をupしてるんだろうか←
いや、好きなんですけどね慶市。

執筆日:8月11日

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