英雄への道
□勝利せよ!戦闘訓練
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建物から出た後、私はヒョコヒョコ歩いているらしい透ちゃんに声をかける。
『透ちゃん大丈夫?ちょっとごめんね。』
「ん?」
私はしゃがんで透ちゃんの見えない足を手探りで見つけると個性のエナジーを足に注いでいく。
「うわぁ、何かあったか〜い。」
『エナジーは生命エネルギーみたいなものだからね。与えると細胞を活性化させて疲れを癒したり傷の治りを早くするんだ。』
「へぇ〜。あ、本当だ!さっきより楽かも。」
透ちゃんはピョンピョン飛び跳ねる。
「ありがとう精羅ちゃん!」
『どういたしまして、じゃあ戻ろうか。』
「は〜い!!」
その後も、みんなの戦闘を見て学んだり、講評したりして、その日の訓練授業は終わった。
いっちゃん以外は特に大きな怪我もなく、初めての訓練にしては上々の仕上がりなのだろう。
「それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!!」
オールマイト先生は挨拶もそこそこに急いでこの場を去っていった。
いっちゃんの所に行くのも本当だろうけど…
たぶん、あの体系を維持する時間が切れつつあるのだろう。
『(俊典さん、大丈夫かな。)』
そんな事を思いながらみんなと一緒に更衣室へと向かった。
その際、勝が下を向いて黙って歩いているのが見えた。
自尊心が膨れ上がった勝…
今まで一番だったから後ろの位置を知らない勝…
その膨らんだ自尊心が仇になる日が来なきゃ良いけど…
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