地上に咲く花

□茴香
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次の日の昼。

桜亜は、体育館裏である1人の生徒を待っていた。

「こんにちわ。朝日さん。」
「…なんのよう。」

桜亜が呼び出したのは、以前、桜亜を呼び出した女子生徒の朝日 泉だった。

「今日は、話しがしたくて。」
「……。」
「隣、座って。」

桜亜が用意した椅子に朝日は、座る。

「これ、どうぞ。」

ホットコーヒーを渡す。

「話しって……」
「朝日さん、飛鳥さんのこと好き?」
「っ!!」
「やっぱり。」

顔を赤くして桜亜を見る。

「いつから……」
「あなたが私を呼び出した日から。」
「……なんで分かったの。」
「あなたは、私が飛鳥さんを虐めているからテニス部を出て行けと言った。」
「えぇ…言ったわ。」
「あなたは、何故、テニス部に近づくなって言わなかったの?」
「……。」

朝日は、桜亜からもらったコーヒーに口をつける。

「私の下駄箱や机の中には、《テニス部に近づくな》と《飛鳥さんを虐めるな》この2つが必ず書いてあった。」
「私がテニス部に近づくなって言わなかっただけで決めつけたの?」
「それだけじゃないわ。部活の時、あなたは、飛鳥さんのことをずっと見ていたじゃない。」
「知ってたの!!」
「教室から見ているのが見えたわ。」
「……。」

朝日は、俯く。

「脅す気……」
「どうして?」
「女が女を好きになるなんて……」
「別に私は、軽蔑しないわ。」
「どうして。」
「男を好きになろうが、女を好きになろうが、その人が愛してるいるならいいじゃない。私の知り合いには、妹を愛してる人や兄を愛してる人がいるわ。」
「……。」

朝日は、桜亜の横顔をジッと見つめる。

「あなたの愛を突き通しなさい。ただし愛してるなら信じてあげなさい。」

桜亜は、朝日に微笑み体育館裏から去る。

「信じる。」

朝日は、コーヒーを一気に飲み干した。



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