Cosmo-Chaos

□繋ぐ正義
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言葉ではない、感情をぶつけられたような強い小宇宙を感じてムウは目を醒ました。

「シオン…?」

急いで宮を走り抜け聖域の頂上、シオンがいる筈のスターヒルを見上げる。

やっと捉えたのは、微弱になる小宇宙。

『ムウよ…ジャミールへ逃げろ…』

『シオン!一体…』

『急げ、とにかく行け!』

ムウは聞いた事のない師匠の荒い声と、闇の様な小宇宙に一瞬すくみ、脱兎の如く宮に戻った。

小さな布袋に詰められるだけの修復道具、そしてムウの身体にはまだ大きい牡羊座の聖衣の入ったパンドラボックスを背負い、聖域と外界を隔てる神殿を目指す。

シオンの身に何かが起こったのは間違いない。

それでも、逃げる事しか出来なかった。

何度も休みながらテレポートを重ね、ジャミールに辿り着いた時。

ムウは思いきり泣いた。
自分でも驚く程の叫びをあげて、拳から血が流れるまで壁や床を叩いて回る。

心も体も空っぽになり、パンドラボックスを抱くように倒れ込んだ。

おそらくシオンはもう、この世のものではない。仇が誰かはわからないけれど、今の自分では太刀打ち出来ない程の禍々しい小宇宙をしていた。

シオンの仇を探し、悪を葬るため強くならねば。
正義を貫くには絶対的な力が要る。

ムウは、もう今夜限り泣くのは止そうと決めた。




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