NOVEL
□one phrase
1ページ/5ページ
梅雨をぬけ、いよいよ夏になろうという日差しに鬱陶しさを覚えていた頃。
私は、母のものである喪服のワンピースを来て目的地へ急ぐ。
…はぁ…
今日のような6月下旬の暑さは私が苦手なものの一つであり、
ここぞとばかりに照りつけてくる太陽に嫌いだった。
額にうっすら汗を滲ませて暑さに耐える。
だが、そんな私の神経を逆撫でするように、
話し声や車のエンジン音が耳に入る。
はぁ……
私は黙って、白っぽいレンガでモザイクに舗装された歩道を進む。
歩道から照り返す日差しで目がからからとなって瞬きをする。
目の乾きを感じながら、
無心で何度も繰り返した。