海路

□死ねと何度望んだか【ウサビ】
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「兄貴?」

ギリリと首を絞める俺に向かって。
弟はただその一言だけを口にした。

細い首だ。

今にも折ってしまいそう。

陶磁器の様な白い肌。
病的なほど真っ白だ。
だからこそなのだろう。

触れている肌は滑らかで、艶やかだ。


ガリッと首筋に噛み付く。
弟は何も言わない。
悲鳴も、溜め息も、つかない。
少し拍子抜けする。

血が。

血が首筋から流れ落ちる。

そして実感した。

『ああ、コイツは生きている』
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