海路
□実らぬ恋の時間【ウサビ】
1ページ/4ページ
簡潔に言おう。
俺、イワン=カンシュコフsは囚人番号541番が好きだ!
朝も早く、囚人いびりしか楽しみの無い厳しい職場で、たった一人癒しをくれる俺の天使、それが541番、プーチンだ。
そりゃ、まぁ男が男を好きになるって言うのは、世間体から見ればかなり異常な事なのかも知れない。
けれども俺はどうしてもアイツの事が頭から離れなくて仕方ない。
そんな事だから今朝なんてボーっとしてたもんだから馬鹿弟共に頭髪を疎らに結ばれて遊ばれていた事に気付かなかった。
そして囚人共にからかわれる始末・・・。
けれど、俺のそんな怒りも小さな監視窓から見えるプーチンの表情1つだけで吹き飛んでしまう。
幸せだった。
叶わぬ恋だと知りながらも、俺はそれだけで幸せだった。
アイツがちょっと他愛も無い会話をしてくれるだけで、天にも昇れる気になれる。
だって、思わず俺も笑みを溢してしまうぐらい。
恥ずかしい話、俺は何度かアイツを想ってヌいた事もある。
セフレの子と遊ぶよりも、こっちの方が断然気持ちが良かった事も、弟達には極秘の俺情報だ。
だから。
どうしても。
囚人番号04番に嫉妬する俺がいるのも事実。
鉄扉越しから微かに聞こえるプーチンの涙声や喘ぎを聴くと、興奮と羞恥と罪悪感が俺を襲う。
もし・・・。
もし、俺がアイツの恋人だったら。
最近そう考える事がある。
けれどもアイツはどんな状況に転がっても、一生俺を見てはくれないと悟っている。
だからもの凄く悔しくて・・・。
愛おしいと想う頭を引っ掻き回して自暴になり、自傷に走る。
無いモノ強請りのタダの餓鬼がここにいる。
目を真っ赤に泣き腫らしてもアイツは俺を見てはくれない。
そう、わかっているのに・・・。