海路

□紅い色【ウサビ】
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ぼっこぼっこに殴られた看守さん。
初めに僕がこの監獄に入獄した時に会ったその人の印象は怖い、と言うより真っ赤な紅い髪が綺麗だった、という事だ。
一本一本その髪の毛はシルクの糸のようで指で触れたらさらりと蕩けてしまいそう。
肌も白くて滑らか。
切れ長の瞳には興味なさげに鼻血を流し気絶している看守さんを見つめていた。

“一体何があったんだろう”

そう思った僕にゆっくりと視線を向けてくるその人。
息を詰まらせる僕をその人は上から下まで目を動かし僕を確認するように見ると視線を看守さんに戻した。
すると同じ顔を看守さんが飛んできて扉の無い出入り口を木の板で塞いだ。
そういえば看守さんは分厚い目だし扉を使って扉の代わりをしているんだった。
そんなこと思ってたら看守さんから小さな声で。

「薄情ものぉ・・・・」

と聞こえた。
それが木の扉の奥にいる同じ顔を看守さん達に向けられた言葉だとは思わなくて、首を傾げる僕の目の前で紅い人は看守さんを何処からか引っ張り出してきた縄でグルグル巻きにしてしまった。

「キレネンコ・・・てめ・・・覚えとけぇ・・・」

呻きとも分からない声で紅い人の名前であろう言葉を呟く。
しかし、そこから覇気は感じられず、紅い人、キレネンコは返事の代わりに鉄拳を看守さんの頭に食らわせた。

「きゃぷぅ・・・」

何ですか、その悲鳴。
思わず心の中で突っ込む僕。
小動物の悲鳴を上げて看守さんは伸びてしまった。
紅い人は空いているベッド(僕のなんだろうけど)の隅に看守さんを置くと自分のベッドに戻って寝転がると枕の上に置いてあった雑誌を読み始めてしまった。
僕は・・・どうすればいいの?
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