サイドストーリー
□災難体質α
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「新しい媚薬を作ってみたんです。どうぞ」
そう言って笑顔を向けてきたノーライトに、ウィンは何とも言えない表情を浮かべた。
〜災難体質α〜
ここは警役所の一室。
昼休みが終わり、射撃場に向かっていたところで自分に客人だと呼ばれて来てみれば、ウィンを待っていたのは相変わらず白い白衣を身に纏った天才だった。
出されていたコーヒー片手にウィンを手招きし、言われた第一声がこれだ。
何だか自分が媚薬を好んで使っている人間に思われているような気がしてならない。
その為ウィンは、目の前に出された小瓶を見て眉を寄せたのだ。
「…依頼した覚えはありませんが」
「当たり前です。私が勝手に作ったんですから」
「何で俺に?」
「好きでしょう?媚薬」
ニコニコとノーライトが言う。
そんな事は無い。
そりゃたまに使ったら楽しいが、こう頻繁に使用すると恋人に怒られる。
ただでさえ、絶倫だと嘆かれているのに。
しかも彼が作ったものは何らかのオマケが付いているからタチが悪いのだ。
夜通しでヤッても萎えないようなオマケが。
「別にいりませんよ」
「今度はネコミミエッチですよ」
「そんなこと聞いてません」
「クロサキ君に猫耳、ふさふさ尻尾」
「…結構です」
「萌えますよねぇ、苦労しましたよコレ作るのは」
「……萌えません」
「彼ならさぞ美人さんな猫になるでしょうねぇ」
当たり前だろ、雄飛は何になろうと可愛いし綺麗だ。
ネコミミとシッポだって当然……、いかんいかん想像したら博士の思うツボだ。
そんなプレイしたら1週間エッチ禁止令とか出されそうだし、やめておいた方がいい。
ウィンは首を振り、己の煩悩を振り払う。
「とにかく、いらないですから」
一刀両断。
ハッキリと断ればノーライトは少しキョトンとして眉をしかめた。
「変ですねぇ。ネコミミなんて新しいプレイ、ウィン隊長なら真っ先に飛び付くと思ったんですが…。……もしかして何かありました?クロサキ君と」
ギクッと肩が揺れる。
さりげなく視線を外し、いいえ、と呟いた。
しかしノーライトは信じない。
ニヤリと目元と口元を同時に細め、コツリとウィンに一歩近付く。
フワリと研究室の薬品の匂いが漂った。
「さぁ白状しちゃいなさい。人生の先輩である私がアドバイスして差し上げますから」
「結構です」
「さぁさぁ」
「だ、だから…」