長編小説
□†Perfect PartnerV
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■6
「こらーッ!起きなさーいっ!」
鳥のさえずる穏やかな朝、に突如響いた怒声。
「…………!!」
床に雑魚寝をしていた隊員達は皆ハッとしたように目を開けた。
「レ…レティア」
「いつまで寝てるつもり!?隊長なんかとっくに起きてるのよ!」
手を腰に当て声を張り上げるレティアは、さすが朝が得意なだけあってもう準備は満タンだった。
髪も結い上げ、制服もきっちりと身につけている。
その横で、同じく制服に身を包んだウィンが苦笑して立っていた。
隊員達はレティアよりもウィンがいる事に驚き、ガバッと一気に起き上がる。
…と言っても、レティアとウィン以外の11人全員がここで焦った訳ではない。
主なメンバーはアッシュ、4等尉3人、そしてアサキを含む5等尉3人の計7名だ。
「わわわッ、す、すみません隊長!」
アッシュと隊員達が慌てて頭を下げる
。
ウィンは『ま、今日は大目に見てやるからさ』などと軽く笑っているが、レティアは立ち上がるアッシュを睨みつけた。
「まったく、アッシュってば随分気持ち良さそうに寝てたわね。私が起こさなかったらあと何時間寝てるつもりだったの?」
「ほ、ホントすみません…」
アッシュだけでなく、他の4・5等尉達も頭を垂れた。
「まぁそれくらいで許してやれ、レティア。昨日の夜、羽目を外していいって言ったのは俺だ」
ラキアを出て、ジェレノスの西端であるクラヴァナールに来たのが2日前。
視察は昨日の内に終わり、あとは慰安旅行として過ごしていいと言われていた第2部隊だ。
昨夜は13人でお疲れパーティーというか、簡単に言えば宴会をしたのである。
宿の食事や酒は美味しく、皆騒いで楽しく過ごしたのだが。
「まさかそのままここで寝ちまってたとは…」
よれよれになったシャツを引っ張りながらアッシュが溜め息をついた。
よく見れば雄飛とリーがいない。
ということは、あの2人はレティア同様すでに起床し支度しているのだろう。
起こしてくれればいいのにーと小さく呟いたら、レティアの言葉が矢の様に飛んできた。
「何言ってるのよ。リーはあなたの事何度も起こしてたわよ。しっかりしなさいよね」
「…………」
ことごとくレティアに責められ意気消沈するアッシュを、後輩である6人が同情の眼差しで見つめた。