長編小説
□†Perfect PartnerU
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■1
巡警隊の部署に機械音が響いた。
ピーッという高い音は、警役に助けを求める緊急要請の知らせである。
日本で言うなら110番と同じような仕組みだ。
「はい。こちらラキア中央警役所巡警隊です。どうしましたか?」
逸速く通話スイッチを押したのは、第2巡警隊の隊長リーカスだ。
そう言った途端に、スピーカーの先で少女が泣き叫ぶように訴えてきた。
「助けて!どうしよう!…か、家族が…!家が血だらけなの!みんな生きてないみたいなの!…お願い…早く来て!」
「…………!!」
掛かってきた電話番号から、コンピューターが自動的にその場所と家主の名前を画面に表示する。
リーカスはその家主の名前を見て一瞬身体を強張らせたが、すぐに冷静さを取り戻して少女に言った。
「すぐに向かいます。あなたはそこを動かないで待っていて下さい」
「は…、は、はい」
返事一つもままならない少女は何度も頷いて受話器を置いた。
リーカスは通信を切るとすぐに機動隊へと連絡を入れる。
少女の言葉から殺人事件と判断した為だ。
そして何よりも信じたくないのは、家主の男の名前の下に、《ラキア中央警役所勤務》と書かれていた事である。
リーカスは苦渋の表情を浮かべながら、機動隊と同時にサウジーにも連絡を入れたのだった。