長編小説
□†Prismatic HeartsY
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◆chapter 26
「あ、見つけた」
赤い瞳を持つ少年が猫の様にその瞳孔をカッと開いた。
その瞳同様、身に纏う長衣も髪も真紅に染まっており、唯一染めていない白い肌が一際目立っている。
「話に聞いた通りだね、綺麗な緋髪…」
その視線の先、数百メートルは離れている道路を、ウィン達13人とフレイ達の乗る四駆が走っていた。
今回向かった4チームはそれぞれ2つに分かれ、別の道からヘベルに向かっている。
「いいなぁ、生まれつきの"赤"」
少年はうっとりと微笑んだ。
「綺麗な赤は好き。…あいつは合格」
目を三日月の様に細めて笑うと、その瞳は他のメンバーを映した。
「漆黒も合格かな、キアと同じ色だし。…緑…あんまり好きじゃないなぁー。金は…まぁいっか」
ぶつぶつと呟きながら赤い瞳を開かせる。
そして一通り機動隊と幻討隊のメンバーを吟味すると、最後にペロリと下を出して、その口の中にある鋭い牙を覗かせた。
「"青"はキライ。いつも"赤"を邪魔するから。大っキライ」
そう言って、あぐらをかいていた足を伸ばし立ち上がる。
吹いている風に真紅の衣装がなびいて、少年は細い手で服を掴んだ。
「もうすぐ夜が明けるね…。キアの所に戻らなきゃ。……お土産は…」
少年は今一度、遠くを走る一行を眺める。
「…ふふ」
そうしてニヤリと、双眼を細めて舌舐りをした。