長編小説

□†Prismatic HeartsW
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◆chapter 12


「隊長……、大丈夫かしら」

 ウィンを遠目に見ながら、レティアがリーとアッシュに言った。
 機動隊のメンバーは、全員雄飛の事を聞いている。今も3人で見舞いに行こうと廊下で話していたところで、レティアの心配そうな声に男子2人も神妙な顔で頷いた。

「責任感じてんだろうなぁ。俺達だって心配なのに、隊長はこんなもんじゃねぇよ、きっと」

「命に別状は無いって聞いて本当に安心したけど……それでもまだ目が覚めないしな」

 アッシュが肩を落として呟く。
 レティアとリーは答える事が出来ず、その言葉にただうつ向くだけだった。

「……こういう時、隊長職は辛いですね」

「!!」

 突然聞こえた声に3人が顔を上げる。そこにいたのは幻討隊隊長のフレイだった。
 先程のレティア同様、淡いブラウンの瞳はウィンを捉えている。

「……フレイ隊長」

「私もノーライト博士から聞きました。命は取り留めたようですが……意識が戻るかはわからないと」

「……はい」

「ウィン隊長は、きっと雄飛君のそばにいてあげたいはずでしょう。でも隊長という立場上、そう易々と休む事も出来ませんし……。彼の葛藤が手に取るようにわかりますよ」

 フレイのその言葉の後、3等尉の面々はしばらく誰も口を開かず、どうしたらいいのだろうと思いを巡らせていた。
何か出来たら…と思うものの、雄飛が自分から目を覚ますしか方法は無い。

「……お見舞いに行きます。雄飛を起こさなくちゃ」

 ふいにレティアが言った。

「毒なんかにやられてないで早く起きてもらわないと、隊長も元気がなくて……、私達まで心配でどうにかなりそうだもの」

「レティア……」

「そうですね。君達が行けばきっと雄飛君も喜びますよ。私も近々時間を取ってお見舞いに行くつもりです。その頃には、彼の目が覚めていると嬉しいのですが……」

 フレイはレティアの肩を優しく叩きながら、心配そうに目を細めた。
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