長編小説

□†Prismatic Hearts
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雄飛とウィンは、今は賞金稼ぎを辞め、ラキアにある中央警役所に勤めている。

以前の賞金稼ぎとしての功績と、警役所に勤めていた今は亡きディアスの従兄弟だということで、フォーセルの警役所が紹介状を書いてくれたのだ。

今日の昇格式で、ウィンは新しく機動隊の隊長として、雄飛は見習い生から5等尉として働く事になっている。
機動隊とは現場係みたいなもので、特に危険な場所への出動が主となっている。
雄飛の5等尉とは、警役人の中でも一番格下で、そこから4・3・2・準1・1等尉と上がっていくのだ。

普通は1等尉になれれば大したもので、ウィンのように若くして隊長に就任出来る事はほとんど無い。

「ま、俺の場合“千里眼の蛇”の異名と、幻術が使えるって特典があっからな」

と、ウィンは雄飛に言った。


そんなある日。

「では総勢35名の5等尉の諸君。今から君達の所属する隊名を発表する」

警役所の会議室で、ラキア中央警役所指揮管――つまりここで一番偉い人――であるサウジーが、声を響かせた。

「まず…アメリア=ハワード。巡警隊リーカス隊」

「はい」

「イライネ=マシュレー、巡警隊リーカス隊」

「はいっ」

次々と名前が呼ばれていき、呼ばれた5等尉達は指命された隊長の前に並んでいく。

(あぁ、凄い緊張する……。機動隊になれることは分かってるけど、マッケン隊長だったらどうしよう)

雄飛は前にならぶ8名の隊長の内、一番右に立つ男を見つめた。屈強な身体つきに、厳しそうな目。
彼は機動隊隊長マッケン=ハンス。
彼の隊員に指命された5等尉達は『当たっちまった』という表情である。

「ユウヒ=クロサキ。機動隊アルヴァーヘル隊」

「は…はい!」

気付いたら名前を呼ばれていて、雄飛は少し焦ったように並んだ。彼の前にはウィンがいる。
2人は目を合わせると、軽く笑みを浮かべた。

(ウィンのチームだ……)

内心ガッツポーズの雄飛である。
やがて全員が隊長のもとにつき、サウジーが言った。

「この後は各隊長の指示に従い行動すること。以上」

「敬礼」

傍に控えていた副指令の号令に合わせて、一斉に隊員たちがサウジーに敬礼した。
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