籠
□大きな愛
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ガラガラガラッ
「仙道さん越野さんっ!!こんなとこでそんなことしたらあかんてェっ!はやまらんといて!」
その瞬間、目に飛び込んできたのは、思いもかけない光景だった。
「…………何言ってんだよ、彦一。俺はマッサージしてもらってただけだぜ?」
少し驚いたように言う越野さん。
「なんかヤラシーこと考えてたんじゃない?うわー、彦一むっつりー。」
からかうように言う仙道さん。
すべて繋がった。
そして、顔が熱くなる。
「な……っ?!そんな、せやかて…!ただわいは二人が変な声出してるから気になって…。べ、べつにやらしいこと考えてたわけやないんですてッ!信じてくださいよぉ。」
「でもォ、顔赤いしィ。ねぇ、越野?」
「そうだよ。俺たちがそんな関係だって思ったわけ?んなわけねぇだろっ!!仙道と付き合ってるなんか!」
その瞬間、仙道さんは越野さんのほうに勢いよく振り向き、飛びついた。
「越野っっ?!俺たち恋人同士じゃないの?!付き合ってるんじゃないのっ?!」
真剣な顔してまくし立てる仙道さん。
「ば、ばか…っ!せっかく彦一にバレないようにしたのにっ!彦一っ!俺ら付き合ってるとか、そうゆうんじゃないからなっ!!」
越野さん顔真っ赤や。
えろう焦った様子でわいに怒鳴ってくる越野さんは、仙道さんの目からじゃなくとも、可愛く見えて…。
ちょおからかってみとうなった。
「二人はカップルとちゃいますの?」
「ちがうっ!」「そうだよっ!」
間髪容れずに二人とも返答。
息もぴったりやし。
これはもう、決まりやろ。
「ほらぁ、 そんな気ィ合うて、もう言い逃れられませんで。やっぱカップルですやん。 お似合いですよ、仙道さん、越野さん♪」
「ちがうたらちがうんだっ!!仙道のばかっ!!もう知らねぇっっ!!」
ガラガラッ バシンッ
真っ赤な顔で、涙をこぼしそうな目を怒りで誤魔化し、越野さんは出て行ってしもた。
しばしの沈黙…。
あかん、わいやりすぎたわ。
気まずい雰囲気が、部室を流れる。
「……仙道さん、いいんですか?越野さん、行ってしまいましたけど…。」
恐る恐る仙道さんに聞いてみる。
すると予想に反して、満面の笑み、というかでれっとした崩れた顔でこう答えた。
「カワイイだろ?ちょっとからかうとす〜ぐ怒るんだぜ?」
「……はあぁ、心配したわいがあほやった…。せやけど、仙道さんたちほんまもんのバカップルですね。」
ちょお呆れた風に言い放った。
すると、仙道さんは目を細め、笑うた。
「バカップルでも何でもいいんだよ。越野と一緒にいれたら。なにも恐くないからね。」
そう言った仙道さんの顔は、優しさと愛おしさでいっぱいやった。
越野さんは幸せもんや。
仙道さんの大きな大きな愛に包まれとって。
いつか越野さんが、その愛に、はよ気づいてくれるとええのにな。
*end*