□衝動
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「越野、こっちおいでwイイ事しよ?」

「……いい、こと………?うんっ!!」


両手を開いて俺の懐に招き入れると、何の疑いもなく飛び込んできた。

すると越野は、大胆にも俺の首に腕を回し、息がかかるほどの距離まで顔を近づけてきた。


「で、なにしてくれんだよぉ?せんろぉw」


自ら誘うかのように迫ってくる越野。

我慢できなくなり、仄かに薄紅色に色付いた唇に自分のを重ねる。

そしてうっすらと開かれた口内に舌を押し込んだ。

舌を絡め、歯列をなぞり、優しくきつく吸い上げる。

水っぽい音が部屋中に響きわたった。


「……んっ、むぅ…ふあっ、」


越野が喘ぎだした。

酸素を欲しているのだろう。

でも俺は、解放する気はさらさらなかった。


「…ふ、はぁっ…せ、…んど、ぉ…」


いよいよ苦しくなってきたのか、俺を呼び、手は俺の服をぎゅっと握りしめている。

俺もそろそろ限界。

銀糸を紡ぎながら、口は名残惜しそうな音を立てて離れる。

越野の唇は妖艶に光を放ち、目には涙を浮かべ、俺を見上げてくる。


「げほっ…、こほっ…、ひでぇ、せんどぉ…、くるしかった、んだからな……。」


虐めたくなるような、いじらしさ。


時々おれは、越野を滅茶苦茶にしてやりたいと思うことがある。

強気で、可愛くて、誰にでも愛想を振りまく越野を踏みにじりたくなる時がある。

自分でも止められない、歪んだ気持ち。

でもそんな気持ちを、越野は抑えてくれる。

越野の笑顔が忘れさせる。

どうにもできない感情を抱かせるのも越野で、それを無にするのも越野。

上手く言えないけど、これだけは言える。


俺には越野が必要なんだ。


「越野…、」

「なんだよ…?」

「……俺の傍にいてくれて、ありがと…、」


俺の腕の中にすっぽりと入る越野。

ありがとう。

10言っても100言っても足りないくらい感謝してる。

越野には俺の隣で、ずっと、ずっと笑っててほしいんだ。

越野の笑顔は守るから。


だから……。


「これからも、一緒にいてくれる?」




               *end*
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