籠
□ヒトリ
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気がつくと、俺は仙道に頭を撫でられていた。
にっこり微笑みながら、くしゃくしゃと父親がするように撫でてくる。
途端、仙道の困ったような顔が目に飛び込んでくる。
次の瞬間、乾いてて温かい大きな手が俺の頬を滑り、
そのまま仙道は、闇の中へと消えてしまった。
ヒトリボッチ。
俺は叫んだ。
「せんどぉ――――っ!!」
はっと目が覚める。
すると目の前には、いなくなったはずの仙道がいた。
「大丈夫…?越野、なんか魘されてたみたいだけど…。」
"夢"だったのか…?
仙道のいる"現実"を実感して、目じりに涙が浮んでくる。
我慢できなくなって、仙道に抱きついた。
肩に顔を埋め、無理難題なお願いをする。
「せ、んどぉ…、どこにも…、いかないでェ…ッ、」
涙がぼろぼろ溢れ出た。
仙道は俺の背中をさすり、
優しい言葉をかけてくれた。
「越野を、絶対、ヒトリにはさせないよ…。」
真剣に答えてくれたことが、とても嬉しかった。
ぎゅうっと抱きしめて、放したくなかった。
いつも優しい仙道が、好き…。
仙道なしの生活なんて、考えられないかもしれない。
何よりも怖いのは…、
君を失ってしまう事
ただそれだけ…。
*end*