□昼メシ
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翌日。


越野の手作り弁当が楽しみで、

午前中の授業内容が頭に入らなかった。


て言ってもいっつも寝てるんだけどね。



「仙道っ!起きろっ!!」


越野の大声で目を覚ます。

仁王立ちの越野の手には、弁当が2個。


「こ、ここじゃ恥ずかしいから、屋上行こうぜ…。」


越野が照れてる…。





屋上のベンチに腰掛け、弁当を開ける。

そこには色とりどりのおかずに、形はきれいとは言えないが、美味しそうなおにぎりが3個入っていた。


「おぉぉ……っ!うまそうっ!!ありがと越野ぉ!」

「いいから食ってみろよ。」


越野は心配そうな顔をして俺を見つめてくる。

野菜炒めを一口ぱくり。


……う、うまい…っ!!


「ど、どうだ…?」

「めちゃくちゃウマいんですけど…!」

「ほ、ほんとぉに…??よかったァ、」


ほっと胸をなで下ろす越野。


「マジでおいしいよ。越野、俺と結婚してよ。……なんちゃって…。」


かなり冗談で言ったのに、越野の顔は見る見る赤くなっていって…。


少しの沈黙が流れる。


「……あー……。ゴメン、冗談だよ、」


「な、なに言ってんだよ、バッカじゃねぇの?」


越野はそう言いながらも、ホッとしたような残念なような顔をした。



ほんと、素直には顔に出してくれないね。

今、越野が、何を考えているのか分からないけど…。

君の心が、俺のために動いてくれたらいいのに。

君の心のほんの片隅に、俺がいてくれたらいいのに。

いつかは俺のためだけに笑ってくれたら、

どんなに嬉しいことだろう。

いつかは俺のことで心がいっぱいになったら、

どんなに嬉しいことだろう。


好きだよ、越野…。




               *end*
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