仙→越で19題
□3 単刀直入に
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自惚れが体を走る。
「ねぇ、越野?」
「ん、なんだ…?」
真っ直ぐ真っ直ぐ、越野の目を見る。
本心は覗けまいか、と真っ直ぐに。
答えを聞くために。
今の俺にとって、自然な言葉。
一番の疑問、願い。
真っ直ぐに、伝える。
「越野って、俺のこと好き?」
途端越野は立ち上がり、ドアに向かって走り出した。
教室を出たところで立ち止まり、振り返った。
きっと睨み、でも頬は色付いたまま、
「んなバカなことばっか考えて課題終わらせる気がないんなら一生部活来んな!!バカ仙道っ!!」
息もつかずにそう言い終えると、体育館のほうへと走っていった。
自惚れは確信に変わった。
だって、顔が赤くなるってことは、ずばり本心を言い当てられたから、だろ?
自惚れていいよね、俺。
ふと外に目をやると、夕日が空を染めていた。
その色を見て、頬を赤くし慌てる越野を思い出し、一人でクスクス笑ってしまった。
いつか、越野の返事が聞けるまで。
「好き?」って聞いたら「うん。」と言ってくれるまで。
その日まで。
ずっと待ってる。
*end*