□ひまわり
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   夢を見ていました


   あなたと暮らした夏


   それはかけがえのない


   永遠の季節のこと



         『ひまわり』


あれはちょうど一年前の夏休みのことでした。

俺とあなたは田舎の家で一夏を過ごしましたね。

風通しがいい、古民家でした。

裏手には、地平線が黄色く見えるほどずっと続く、
ひまわり畑がありました。

みんな胸を張って、すっと立っていました。

太陽に向かってきらきら光っているひまわりを見て、
あなたは、

       きれい、

と呟きました。

あなたのほうが、まるで…。



   まっすぐに伸びてゆく


   ひまわりのような人でした



昼下がりに比べると、あの暑さが嘘のように、
夕暮れ時は涼しくなりました。

ふたり肩を並べ、沈んでいく夕日を見ていると、
胸が千切れそうになり、泣きそうになりました。

隣には、あなた。

つい、甘えてみたくなりました。



   黄昏に 頬染めて ひざ枕


   薫る風 風鈴は 子守歌


   いつだって いつだって


   あなたが そばにいてくれるだけで


   それでよかった



あなたさえいてくれれば、何もいらなかった。

何も必要としないし、何も望むことはなかった。

ただ、あの夏だけは、
二度と手に入れることができなかった。



 
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