忍
□かき氷
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「何味がいいですか?」
イルカ先生が訊ねてきた。
「イチゴがいいなぁ。」
と、俺。
台所からしゃりしゃりと涼しい音が聞こえてくる。
「はい、どうぞ。」
トン、と机の上に置かれたのはかき氷。
イルカ先生のは、メロン味。
鮮やかな色が映える。
「ありがとうございます。」
イチゴ味なんて、作られたニセモノでしかないけど、
それでもおいしい。
それはきっと、あなたがいるからですよ、
イルカ先生…。
口には出して言わないけど、伝わっているといいな、
この気持ち。
「カカシ先生、味見させてください。」
そんなかわいい顔でおねだりされると、
意地悪なことしたくなっちゃうな。
口にかき氷を含み、素早くイルカ先生の唇を奪う。
そして口の中に甘い液体を流し込んだ。
あなたはイチゴよりも真っ赤になって…。
「な…っ!あんた、なにやってんですかっ//」
「キスですよ、キ・スw」
驚いた顔もかわいいなぁ、あなたは。
そんなあなたを、ずっとずっと守っていきたいと
心から思う。
ずっと、傍にいるから、俺だけのために、
泣いたり、怒ったり、笑ったりしてくれるだろうか。
夏の日差しに照らされて、
かき氷がどんどん溶けていくように、
俺の気持ちも溢れだしていく。
「ごめんネ、イルカ先生…、」
やっぱりキスだけじゃ、物足りなかったよ。
*end*