小さく咲く華

□猫とマスター
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「わっ食べた。」
「かわいい!」
「しっミク姉。マスターに気付かれちゃうよ。」
「ちょ、レンしっかり見ててよ。逃げちゃうじゃない。」



「何してるの〜?」




「「「マスター!!」」」



「その子・・・何?」




レンの手には





子猫




がいた。



「ミク、リン、レン。

 私、動物は嫌いっていったよね?」


「はい・・・。」


「じゃあコレは何?」


「子猫が、雨にうたれて可哀想だったから・・・。」



「貴方達は可哀想だったら何でも拾ってくるの?」



「・・・。」



「はあ・・・。

 もういいわ。その子は私が保健所に連れてくから。」



これでも私なりに優しくしたほうだ。

普段なら、


野良猫に戻すだろう。



なのに・・・




「やだっ!

 折角拾ったんだよ?飼おうよ!!
 マスターだってきっと猫好きになるよ!!」


!!!


・・・いい加減に・・・


「いい加減にしなさい!!!」


ビクッ


3人の肩が震えた。


「私この家に貴方達が来るときいったよね?
『動物だけは絶対家に連れてこないこと』
 って!


 約束が守れないなら「捨てるの?」え?」


私の言葉は、リンによって遮られた。


「マスターは私達のこと捨てるの?

 この猫みたいに。」


しまった・・・



リンは元々気性が穏やかではない子だったから・・・。


「そんなんなら私だって家を出てってやる!!!!!」



バンッ



リンはそういって猫を連れて何処かへ飛び出していった。



「リン!」

「リンちゃん!!」



レンとミクも、リンを追って何処かへいってしまった。






この家に私は一人になった。


こんな静さはいつ依頼だろう。




「(私、なんであの子達を買ったんだっけ・・・?)」


ふと、脳裏にこの家に引っ越してきて間もない日の自分が映った。


「(ああ、一人が寂しかったから、だっけ。)」


あの時は、

まだこの県に来てから日も浅くて、

右も左も分かんなくて、


沖縄から来た私にとっては、



北海道は、全く分からないことばかりで。


近所付き合いも、

沖縄とは違うんじゃないかって全くしてなくて。



「(・・・



 なんだ・・・。




 ペットは飼わないっていったのに、もう飼ってるじゃない。)」





私、リンとレンとミクを、


ペット感覚で買ってた・・・。



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